なぐりあいSS隊
それは、ある昔の日の思い出だった。
「スーさんみましたよヨ!何ですかコレハ!」
突然彼の部屋に連れてこられた私は開口一番に言われた言葉が何の事なのかわからなかった。
「何がです?」
正直に聞くと、彼は少し怒ったような声で本題に入った。
「何ってスーさん、あなたBBの装備申請を出したみたいじゃないですカ!」
「ああ、その事ですか。そうですね、確かに申請を出しました。第2適性までは無事通ったので後は来週に装備実験があるだけですよ。後は現在ペアであるあなたに許可を貰うだけです。それとも何か書類に不備でも?」
不足書類でもあったかと思ったがどうやら違うみたいだ。少し考えるそぶりを見せてから彼は私に言った。
「スーさん、第2までという事は第3適性はダメだったんですよネ?」
「はい、その通りです」
すると彼は私の肩を掴み、
「やめましょうスーさん、そんな危険な事してほしくありませン」
強い口調でそういった。
「いやです」
「即答ですネ!ですけど第3適性が無いとなるとBB装備実験失敗の場合腕がダメになってしまいますヨ!それはよくありませン」
そこでようやく私は彼の思いがわかった。多分心配してくれてるのだろう。それは嬉しいことだ。しかしそれでも私は受けなければならないとも思っていた。
「大丈夫です。第2まで通ったので最悪でも死んでしまう事はないんですから。それに私は気づいたんです」
「何にですカ?それは自分の体よりも大事何ですカ?」
その質問に対しては自信を持って答えられる。
「はい。前回の仕事は長期戦でした。そんな時に手持ちの物資だけではどうにもならない時があるという事がわかりました」
「アレはかなり特殊なケースでス」
彼は負けじと反論してくる。
「それでも無いとは言い切れないでしょう?現に1回起きた事です。それにあなたならもっと経験してるのでは?」
「それハ……」
言葉に詰まる。彼の方がこの仕事は長いのだ。やはり何度かはこういう事があったのだろう。
「あなたはロボットですから大丈夫でしょう。ですけど私は生身の人間です。ならば必要な時に物資の調達ができるBBは必須の物になります」
そう、BBとは黒い箱の形をした小型転送装置のことなのだ。原理は一握りの者しか知らず、未だ研究段階のそれは宇宙政府の隊員の中でもごく少数が使用を許可されている。生身の人間の場合、体内にナノマシンを注入、それを認証キーとしてBBから物資が転送されるのだ。更にそのナノマシンは身体機能の引き上げもしてくれる。ただ、問題はそのナノマシンがかなり特殊で適性が無ければ身体に異常をきたす可能性があるのだった。
「そして何より」私は言葉を続ける。
「あなたと共に行動する以上この前みたいな事になる事は多いでしょう。だから備えは多くあった方がいいとも思ったんです」
私は前回よりも前のことを思い出しながらそう言った。




