なぐりあいSS隊
夜の宿にて
「で、なんでマスク……マスクですかそれ?」
「ハイ、手作りマスクデス」
「夜中に何かしてるとは思ってましたがそんな……とにかく、なんで顔を隠してたんですか?」
ティーはスーに正座させられていた。
「その、ワタシが負けたと思って貰えればスーさんもすぐ棄権して事無きを得るかなト?」
「そうですか。その結果がその巾着袋ですか」
「辛辣!恐ろしいキレ味ですよそれハ!とはいえここから先の参加者は確実に全員が実力者でス。スーさんは棄権した方が安全かト……」
「何立ち上がろうとしてるんですか」
「アッハイ」
ティーがそのまま立ち上がろうとしたので無理矢理座り直させるスー。まだ何かいうことがあるみたいだ。察したティーはまた正座をした。
「いいですかティーさん。私は自分から参加したんです。」
「そうですネ。それでもワタシとしては心配でス、怪我されたら大変ですし出来る事なら棄権して欲しいと思ってまス」
「……そんなに頼りないですか私は」
スーの呟きはティーには聞こえなかった。
「今なにか言いましタ?」
「いいえ、何も。もういいです。私はティーさんがなんと言おうが試合はします。ついでに言うならティーさんもボコボコにして優勝してやります。覚悟してください。」
そのままスーは布団に潜り込んだ。
「……」
ティーは静かに窓から外を見る。
(先程のスーさんの目、あの時と同じでしタ)
少し昔の事をティーは思い浮かべながらも、彼もまた明日に備えるのだった。




