なぐりあいSS隊
『ライトニング・ハンマーの名前に惹かれて集まった欲の塊ども!今大会では前回の2倍の100名が集まったぜ!残れるのは残念だが1から50番の中から1人!51番から100番までの中から1人だ!』
そう言いながら手に持っている赤いボタンを押した。
すると闘技場中央がせり上がり始め、高い壁となり2つに別れた参加者を分断させた。
『ルールは簡単!周りの奴らを倒すか入場の時貰ったタグを奪うかだ!分かりやすいな!』
1人で納得している。
『後、サイボーグとロボットじゃどうしても生身の部分で差が出てしまうから1つだけサイボーグのお前らにロボットと対等になれるものを準備させてもらったぜ!』
言い終わったタイミングで上空から目の前に小さな箱が降ってきた。中を開けて見ると……。
「手袋、ですか」
『手の機械化がされてない奴らはその手袋を装着するんだ!最新技術によって殴るときだけ外側が硬質化。内側が衝撃吸収機構になる!これで殴り放題だな!」
最新技術に誇らしげなDDの声が聞こえる。
『それじゃあ後は解説と実況に移るぜ!1分後にスタートだ!』
「そんないきなり……」
スーは呟きながらも立ち位置を確認していた。手袋を装着し臨戦態勢になる。
しばらくして、低い鐘の音が会場に響き渡る。
『スタートォ!』
皆一斉に動き出した。
『さて、始まりました当日参加者決定戦。解説は私DD会長の補佐であるGGです』
闘技場全体を見渡せる解説席には眼鏡をかけスラッとした背の男がいた。そしてその横の実況席には。
『盛り上げていこうぜぇ!実況はもちろんDDだぁ!』
暑苦しいおっさんがいた。
『よろしくお願いします。朝1回戦目は大会の始まりに相応しいお祭り騒ぎのような戦いです』
『そうだな!色々なところで様々な闘いが観れるからいくらでも観てられるな!』
『ルールは基本的に近接格闘以外を禁止しているという事だけですね』
『ああそうだな、俺たちは拳のぶつかり合いが見たいんだ!ただし殴られて飛ばされて来たやつとかにぶつかるのは自業自得!例外的な所だな!』
嬉しそうなDDとは対照的に補佐であるGGは真面目な顔をしていた。
「はい。そんな闘いはいまドローン撮影機器により様々な角度で撮影中です。大会が終わり次第映像作品として販売します。皆さんふるってお買い上げ下さい』
『よろしくな!』
しっかりと営業を欠かさない男達だ。
『ところで会長、今回の当日参加者で会長が気になる方はいましたか?』
『いんや、俺は当日参加者はそこまで気にしてねぇな。しかしお前がそう聞くって事はお前の方は気になる奴がいるってことだな?』
『はい、大会初の女性選手がいます』
それを聞いてDDは跳ね上がった。
『なぁにぃ!とうとうこの大会にも華が出来たってわけか!おいカメラ回せ!その女の参加者を見てみようぜ!』
指示を受け1台のカメラがそこへ向かう。映し出されたのはもちろんスーだった。




