Iam a Hero Show
周囲の喧騒がやまない中ラドックは1つの違和感に気づいた。
(結構な時間が経ったが爆発しない?もしや)
ラドックは物陰に隠れるのをやめある方向へ走り出す。人質の方だ。そして勢いを殺さずにそのまま──。
「ハッハァ!一足遅かったなお前ら!」
人質とティー、スーの間に割り込んできたのだった。
「アー、みつかってしまいましタ」
とティー。
「やはり作戦としては雑すぎたのでは?」
とスー。
何故か余裕な素振りの2人をハッタリだと判断したラドックは2人に告げる。
「中々生意気な真似してくれたなぁ。だが残念だったな。俺を出し抜くには1歩足りなかったわけだ。死んでもらうぜ」
そして腰のホルスターから銃を抜き構えた時
「……ん?アァ?」
ある異常に気づいた。引き金がなくなっていたのだ。
「1歩は足りてましたネ?」
「てめえの仕業か、いつ、何しやがった?」
するとティーは自慢げに答えた。
「簡単でス。ワタシ達が投げたのはグレネードの不発弾ではなかった訳でス」
言われてラドックはグレネードだと思っていたものを見る。それは逆さまにしたくす玉の様に真ん中から割れていた。その中には彼らの引き金と思わしきものが集められていた。
「ソレは対テロリストとの近接戦の際に使う予定だった無力化爆弾、というよりは小型ドローン内蔵カプセルですかネ。ワタシの見た映像から送った情報から銃だけを使えなくしてくれる便利なコたちでス」
──ドローンカプセル、。開発部はこれを働き蜂爆弾とか名付けていた。小型化と静音性に優れバレない様に引き金を削り取り自分たちのカプセルに戻すのは鉢をイメージして作ったからであった。が、使用する側からすればどうでもいい情報だった。
使えなくなった銃をしまう。
「なるほどな。これほどの最新兵器を保有しているという事はそこらの技術者のお友達とかではないな。……さてはお前達は宇宙政府の奴らだな?」
とうとうラドックも気づいたらしい。さらに誇らしげになるティー。
「エエ、その通りでス。ワタシ達は愛と正義を守るSS隊なのでス!」
いつも通りのドヤ顔で答えるティー。
「うるさいですよティーさん。さて、SS隊ということもバレてしまったので提案しましょう。大人しく捕まってくれますか?」
「やだって言ったら?」
「ボコボコにして強制連行です」
「即答とは容赦ないなチビ助。だったら俺も奥の手をを使うぜ?」
ニヤリと笑みを浮かべるラドック。
ダン、とスーの背後からティーがスタンガンを発砲する。が、ラドックはそれを避けた。そしてリモコンと思われるものをを袖から取り出し、押した。
ドドドドド!
連続した爆発音がした。その音の方向は──。
「っ!人質の皆さんが!」
そう、その爆発は人質の周りに配置されていた。全ての爆発が終わった時、そこに人質はいなかった。




