Iam a Hero Show
返答は早かった。
「嫌ですお断りしまス」
「同じく」
応えた瞬間周囲が一斉に銃を向け直した。流石にこの数で一気に撃ち込まれた無事ではすまないだろう。緊張感が高まる。
「オイオイ落ち着け。まだ話は終わってない」
ラドックの一言で銃は再び降ろされる。
「本当に嫌か?俺はお前らの能力を買っているんだ。今なら幹部候補にしてやってもいいぜ?」
「間に合ってまス」
「同じく」
猫撫で声で話し掛けてくるラドックを軽く一蹴する。それには流石に彼も機嫌を悪くしたようだ。
「そうかい。どこの奴らか知らねえが残念だ。俺の下に来ねえってんなら消えてもらうしかない。他の奴らにはもったいないからな」
ラドックが手をあげると銃口はこちらに向けられる。もはやいつでも引き金は引けるのだろう。
「下手な真似はするなよ?大人しくしてくれれば楽に逝かせてやるからよ」
「下手な真似っていうのは、こういう事ですか?」
「あぁ?」
スーがティーの後ろから体を出す。それと同時に地面に何かを転がした。それは両者のちょうど真ん中辺りで止まる。丸く、そして黒いそれは──
「っ!物陰に隠れろ!グレネードだ!」
ラドックの判断は速かった。即座に指揮をとって物陰へと逃げ込んだ。後の者もそれに続く。
「おいもっと詰めろ!」「他の場所にいけ!」「嫌だ死にたくない!」
場は一気に混沌と化した。怒号と悲鳴がこだまする。




