Iam a Hero Show
「下の階から通信!『もうだめだ……』通信切断されました!」
止まらなく鳴り響いている銃声は下の階から聞こえてくるものだ。
「上の階からの応答も少しずつ減っていっています!どうしましょうか船長!」
上の階は下の階より銃声は少ないが応答が次々に途絶えている。静かに、しかし確実に何かが迫ってきているのだ。
デパートの中腹では慌ただしく事が進んでいた。簡単に終わる予定だった今回のビル占拠がかなりの難航を示しているからだ。彼らからは動揺が伝わってくる。が、その中で1人だけ冷静な男がいた。先ほど船長と呼ばれたのは彼だ。
「ふむ、今回は一筋縄ではいかなそうだな。オラお前ら落ち着け!すでに逃げる手筈は整ってる。他の棟からの通路は塞いだ、電気系統は切っている。そうなると上と下の奴らが出てくる場所は2つ、だが真正面から馬鹿正直にくるやつなんていねえ。つまり出てくる場所は1つだ」
男は静かに一点を見据える。
そこには階をつなぐ非常階段の扉があった。
カンカンカンと軽い音を鳴らしながらスーは非常階段を降りていた。
「最初からここを降りていればよかった」
屋上から馬鹿正直に階段を降りていった彼女は階にいる全ての海賊を黙らしていたのだ。結果として挟撃される心配がなくなったので本人は良しとしていた。
「……あっ」
階段の踊り場を曲がると扉の前で立ち止まっているとティーがいた。
「ン?ああスーさんさっきぶりですネ、下の階は全部終わりましタ。そちらもですカ?」
「はい。あとはその部屋だけです」
すると部屋の中から声が聞こえてきた。
「そこにいるのはもうわかってるぞ。早く入ってこい。なに、いきなりぶっ放しはしないさ。俺はお前らと話しがしてぇんだ」
「だそうですよティーさん、早く行ってください」
「多分スーさんも呼ばれてますよコレ」
呼ばれてしまったなら仕方がない。スーはティーの後ろに隠れながら部屋へと入って行った。
ガチャ。
ガチャリ。
前者は扉を開けた音。後者はなかの海賊たちに一斉に銃を向けられた音。
ティーは両手を挙げ抗議した。
「もうぶっ放そうとしてませン?」
「撃たないとは言ったが構えないとは言ってないからな」
その声と共に構えていた海賊達が真ん中から割れ、道を作る。そこから1人の男が歩いてきた。ハットを深く被り、タバコを片手に持っている。
「貴方の声は犯罪者音声データに入っていまス。ラドラド海賊団の船長ラドックですネ」
男 ラドックは嬉しそうに応えた。
「その通り、俺がラドック様だ。そして他の奴らは3年ぶりに入ってきた新人達だ」
ラドックは周りを見渡す。
「新人と言われるとたしかにそんな気がします。なんというか気迫が足りない感じですよね」
ティーの後ろから顔だけひょっこりと出すスー。ただそれだけの動きでも彼らは慌ててティーからスーへと銃を向けなおす。緊張からの落ち着きのなさが見てとれた。
「オイオイチビ助ちゃん新入り達にひどいこと言わないでくれよ。誰だって新人の時はあるんだぜ?」
「誰がチビですか。それよりも話ってなんですか?内容によっては捕まえるタイミングが変わるんですけど」
「スーさんあまり刺激しないで下さイ!真っ先に撃たれるのはワタシなんですカラ!」
怒るティーをみて笑い出すラドック。
「ククッ、安心しなまだ撃たねえ。まだな。そうだな、単刀直入に言おう」
ラドックはこちらをまっすぐ見据えながら切り出した。
「お前ら2人、俺の部下にならねえか?」




