突撃隣の救難船
目的の場所までつきました。人1人分しか通れない隙間のある壊れた通路の瓦礫の前です。ここさえ抜ければ簡単に逃げられるでしょう。
「王子、先に行ってください。私は彼らの相手をしなければなりません」
残念ながら簡単とは行かなくなってしまいましたが。振り返ればすでに戦闘準備万端のオクトパス達、今にも飛びかかってきそうです。私はまた腰の箱に手をあてます。
「……BB起動、要請、『エアーガン』」
私が声を出した瞬間、1匹のオクトパスが飛びかかってきました。小さいとはいえ噛まれたら致命傷になるでしょう。噛まれたら、ですけど。
BBからポンっという音と共に二丁の拳銃がスーとオクトパスの間に飛び出る。宙に浮いているそれを取ると即座に噛み付こうとしていたオクトパスの額に銃口を突きつけ、引き金を引いた。
パンッと軽い音が周囲に響きオクトパスは吹き飛んだ。そして、それが開戦の合図だったかのように一斉にオクトパス達がスーに飛びかかった!
背後から戦闘の音が聞こえる。彼はスーに言われ狭い瓦礫の隙間を通っている。無事を祈りながら進んでいると光が差してきた。
「よし、もう少しで出口に……」
そう呟いた彼の顔が絶望に変わる。その光を遮るように1匹のオクトパスが顔を出したのである。
「ギュキッギュキッ」
まるで嘲笑っているような鳴き声を出しながら口を開き向かってくる。
「ああ……」
これまでか、と目をつぶり諦め掛けていたかけていたその時。
「ギュイ⁉︎」
「やっと着きましタ!スーさんときたら何が『集中したいから通信切るね』ですカ!その後連絡も無く変な鳴き声まで響いたら不安になるに決まってるでショ!」
ティーが来た。
王子に迫っていたオクトパスをひょいと引っこ抜いた。ついでに王子も引っこ抜いた。
「あの、ありがとうございます」
「イエイエ、仕事ですのデ。さてと、スーさん!王子を無事確保でス!スーさんも早く来てください!」
暫くするとスーも同じ所からでてきた。
「ある程度は片付けました。けどまだまだいると思います。早く脱出しましょう」
「了解でス」




