突撃隣の救難船
ティーさんとの通信を切らないようにしながら通路を進んでいく。道中の怪しいものは全て切り捨てながら進むことにした。
「ギュイッ⁉︎」
近くにあった旅行鞄から悲鳴が上がる。
どうやら1匹オクトパスがいましたね。
「救助された人達のよく分からない傷の謎が解けましたね。オクトパスの口の形と合致します」
そう、救助された人達の多くが逃げる際の転倒による打撲。それと丸く抉られたような不可思議な傷を負っていたのです。それらが全てオクトパスのせいだとすれば解決します。
『それにしても不可解でス。彼らが人を襲ったなんて話は聞いたことがありませんシ、それに集団で行動しているという話もでス。一体なぜ……』
ふと、私の足が止まった。通路で変なものを見つけてしまったからだ。いや、しまったと言うよりも、見つけるに決まっている。が正しいだろう。
「……ティーさん、多分ですけど原因と思われる物を見つけました」
箪笥だ。私達の進行方向数メートル先に大きな箪笥がある。明らかに通路にあってはおかしい存在感。遠目からでも脈動しているのがわかるほどの存在感。更にその箪笥の周りは赤く染まっており、もはや疑うことすらできない。大体行きはなかったのに帰り道で突然現れてる時点でおかしい。
「……」
「大丈夫ですかお姉さん?」
私があまりの突っ込みどころの多さに棒立ちしていると、目の前の箪笥もこちらに気づいたのだろう。ノロノロと形を変え、ズルズルとその巨体を引きずりながらこちらに向かってその口を──。
「っまずいひとまずそこの部屋に逃げましょう!」
「は、はい!」
私達はすぐさま近場の部屋に転がり込んだ。扉を閉める寸前バクンという音がなり、さっきまで私達のいた空間には口を閉じたオクトパスがいました。




