終わり、そして
振り抜かれたナイフからは血が滴っていた。それでもスーはすぐ様距離を取った。
「致命傷は避けましたか、流石スーです」
「ええ、おかげさまで、お気遣いありがとうございます……!」
スーは腰付近を押さえながら言う。ナイフの血は勿論スーのものだった。
実際メイは気を遣っていた。本来なら腹部から斬りつけるものをBB装着用のベルトを狙って斬撃を放ったのだ。尤も、だからといってスーが避けなければその時点で戦闘は終わっていたが。
(傷は浅い、大丈夫。それよりもBBが……)
メイの狙いどうりスーはBBを失っていた。切られたベルトと共にメイの足もとにある。拾う余裕はなく、仮に拾えそうになってもメイの妨害は必須だ。
マリアに援護を頼もうにも彼女は彼女で動かなかった。本部長と支部長はマリアに、マリアは2人に銃を向けている。この3人は動けない。
「…………だったら」
スーは傷を抑えていた手を離しエアーガンを両手に構える。
(手持ちの銃でなんとかするしかない)
再びスーはメイに向かって行った。
スーは一直線にメイに向かっていく。メイはそれをみてBBを起動。5本のナイフを呼び出しそれを投げつける。スーはそれを避ける素振りも見せない。そしてスーの目の前にナイフが来た時
パパパパパン。連続した破裂音が聞こえナイフは明後日の方向へ吹き飛んでいた。
「!?」
流石のメイもこれには驚愕していた。スーは自身に迫っていたナイフの全てをエアーガンによる射撃で吹き飛ばしたのだ。
エアーガンの射撃の有効射程はほんの数センチしかない。それでナイフを防ごうなどリスクが大きすぎる。だからといって銃身で防げは銃身は持たない。その一瞬の判断、そして正確な射撃を彼女はやってのけた。一切落スピードは落とさずそのままメイの懐まで潜り込む。
メイは横なぎにナイフを振るう。一時とはいえ動揺が含まれてしまった攻撃は簡単に対応される。横なぎの速度を完璧に読み取り銃口を下から刃の腹に合わせて、射撃。1本弾き飛ばす。更にもう1本のナイフは突きを放ってこようとしていた。それも避けて、射撃。2本目も吹き飛び、メイの持っていたナイフを両方無力化した。
「まだまだ!」
「!」
スーはメイとの距離を詰め続ける。メイはBBを持っている。少しでも隙を見せたら直ぐにナイフは補充される。ならば隙を作らなければいい。超至近距離でメイに向けてエアーガンを放ち続ける。破裂音が途切れずになり続ける。
「…………!」
「っ!流石にこれはよくない状況です」
メイは繰り出される至近距離でのエアーガン2丁の射撃を全てすんでのところで躱していた。1手間違えれば即座にアウトな攻撃に対し常に最良の手を打っていた。
いつまでも続きそうな攻撃もやがて緩んでくる。怪我と疲労でスーの体力の限界が近いのだ。そこに付け入らない理由はない。
パシ、と片方のエアーガンを掴みそのまま奪い取る。そしてスーのエアーガンとメイのエアーガンは互いに同タイミングで相手の銃口に銃口を向け
パン。
2丁のエアーガンが宙を待った。




