突撃隣の救難船
「ありがとうございます、SS隊の方。このお礼は必ず致しましょう。キリゴ星の王の名にかけて」
深々とお辞儀をしたのはワタシたちが現在助けているキリゴ星の王子のお父さん。すなわち王様でス。
「いえいえトンデモナイ。これも私たちの仕事のうちでス。それにまだ確認をしただけでこちらまで帰ってきてませン。それまでは安心できないでしょウ」
『ティーさん!翻訳を早くお願いします!』
ディスプレイ越しに彼女の声が聞こえる。
「あーハイハイ、ちょっと待ってくださいネー」
カタカタとキーボードを打ち込みワタシはあるプログラムを作成する。ワタシはキリゴ星の言語形態をインプットしてありますがスーさんはそうはいきません。
「スーさん、今から自動翻訳プログラムをそのヘッドセットに追加しまス。問題があれば伝えてくださイ」
送信。しばらくしたらスーさんから返事が帰ってきました。
『大丈夫そうです。このまま帰還しようと思います』
よかっタ。これで一安心でス。後は帰るだけ、と思ったワタシの所に幾つかの通信が届きましタ。
「……コレは」
「どうかしましたか?隊員さん?」
「……エエ、早速で悪いのですガ、1つお礼としてお願いを聞いてもらってモ?」
帰りの通路を通っている間、私は翻訳機能を使い王子と話していた。
「ありがとうございますお姉さん。このお礼は必ず。王子の名にかけて」
「いやー、なんか照れますね」
「なんでですか?お姉さん」
「んぅ」
お姉さんという言葉はなかなか良い響きです。でも少し恥ずかしいです。
「ところで」
とりあえず話題を変えることにしました。
「王子は今回の件何か情報とか聞いてないですか?」
「はい、僕は部屋にいたので、いきなり起きた事で何も分からなかったです」
「そうですか……実はまだ原因の特定がまだみたいなので少しでも何か知りたかったんですが」
通路を先に確認し、後ろからついてくるよう促す。
「あ、でも1つ変な事を言っているのが扉越しに聞こえました」
「変な事ですか?」
「はい、確か……家具に襲われたとか」




