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SS隊の惑星日誌  作者: たけすみ
144/158

終わり、そして

処刑装置の作動点検は終わった。幾つかの廃棄物が自動機械により運ばれ、バーナーにより焼却された。

そして次はとうとうティーが処刑される番になる。

「次がTの廃棄処理になる。だが、お前とスーは何をするかわからん。未だに迷いが見える奴といくら心の整理がついた奴といえど、元同僚の処刑だ。なので私が操作盤を使用する。メイは2人を見張っておいてくれ」

「了解しました」

支部長は操作盤の前に立つ。そしてその背中を守るようにメイは背後に立ち、2人を見張っていた。


ピピピと自動機械が操作を受信した音がが鳴る。

やがて、2台の人型機械は目標を両脇から掴む。それは昔のオモチャのような4角形を積み重ねた見た目のロボットだ。特徴として水色のモノアイがあったらしいが今のこのロボットにはそれは見受けられない。彼はティーだった。


自動機械はバーナーまでティーを運ぶ。だらんとした四肢に力は入っていない。頭部に入っているティーのメインチップは四肢の操作を制限されている。しかし頭部のカメラだけは操作を許可されている。最後の最後、焼却の寸前まで起動し、焼却されないと処刑にはならないからだ。

(……ついにこの日が来てしまいましタ)

音声機能も許可されてないので後は消えるまで考えることしかティーには出来なかった。

(いざとなると冷静になるものなんですネ。あ、始まりましタ)

処刑は形式的なものだ。執行台までの100mほどの距離を約1分30秒かけて歩く。そして突き落とすのだ。今はその動き始めの時だった。

ゆっくり、そして確実に距離は縮まっていく。

(何でもこの時間で懺悔する為にある要素みたいですが実際やるなら早くして欲しい気分ですネ)

心の中で軽口を叩く。覚悟を決め、ただ正面だけを見据える。自分のしたことは間違ってないと。

(スーさんは無事だったんですからワタシの最期としては最高勲章でしょウ)

もうすぐ執行台につく。


(アア、でモ──)

最後の最後、1番どうしようもない時に、唯一の心残りを見つけてしまった。

執行台についた。後は落とされて終わりだ。

(──ちゃんと謝っておくべきでしたかネ?)

最後に見た彼女の顔が、笑顔じゃないのはもったいないナ──。






処刑されるロボットの機能は頭部のカメラ以外の機能を制限されている。そしてその制限の中には音声認識機能(・・・・・・)も含まれている。


ティーは知らなかった。スーが髪を切ったことを。

ティーは思わなかった。スーが自分の言葉を聞いてなお諦めていなかったことを。

そして音声認識機能が制限されているティーは気づかなかった。スーが──。



「ティーさん!」


彼女がすぐ後ろまで来ていることを。

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