終わりの準備
…。
……。
………。
ただただ静かな暗い部屋の中、スーはじっと動かずにいた。既に3日ほどこの状態だ。
ウィーン。扉が開く音がした。それに反応し部屋は明かりがつく。
「……晩御飯を持ってきました。一緒に食べましょう?スー?」
扉の前にはメイがいた。両手にはトレーに乗った食べ物が。
「……」
「 なので、T様は他の方々には第3銀河の未開拓地域で長期任務に従事するという説明を行われました」
メイはこの3日間食事の提供とスーに現在の状況を伝えていた。
どうやら今の状況はこうだ。
ティーは今回の事件を反省し自主的に拘留しているとなっている事。
拘留が終わり次第長期任務に就くという話になっている事。
本当の事は本部長、支部長、付き人のメイ、そして当事者の私とティー、計5人しか知らない事。
そして、
「T様の刑の執行日も決まりました。ちょうど今日から1ヶ月後。機械用死刑執行台の点検の日に合わせて行うようです」
そして、ティーの死刑執行日が決まった事。
「……」
話すだけ話してメイは出ていった。というよりも気づいたらいなくなっていた。思った以上に現実を受け止められなかった私はメイが出ていった事にも反応できなかった。
あと1ヶ月。それでもう2度とティーとは会えなくなる。だが、その事について考えようとすると、
(スーさんには関係ないでス)
「っ……」
ティーの言葉は私の行動する気を完全に奪い去っていた。でも、それでも。
ウィーン。扉が開く音がした。誰かがそこに立っている。
「やぁスー。少しいいかな?」
「……お父様」
そこにいたのは宇宙政府本部長。スーの父親だった。




