仕事の終わりの始まり
「う……」
目がさめると、そこは先ほどの廃ビルの中だった。周囲には幾人かガラの悪い奴らがいる。その中で一際目立つ男がスーが目を覚ましたのに気づいて近づいてきた。
「やっとお目覚めか?結構寝てたぞ?ま、こっちとしては都合が良かったが」
「……っ。貴方はさっきの」
「流石はSS隊隊員様だな?自分の見た目よりも仕事優先か」
「……!」
気づけばスーは服を脱がされ、下着だけにされていた。体を隠そうと動こうにも両手は柱に固定されていた。
「無駄な抵抗はよしておけ。お前は大事な商品だからな?」
「商品?ふざけた事を言わないでください」
「ふざけてないさ。マジもマジ、大マジだ。お前はこれから俺らの商品として売られるのさ、まあその前に少し"加工"するがね?こんな風に」
そう言って1人の女性が連れてこられた。
その女性は先ほどまで一緒にいた女性。スーに助けを求め、そして後ろからスーを撃った女性だった。
「貴女もグルでしたか」
「ご主人様、ご褒美を、ご褒美を早くっ!」
「待て待てそう急かすな。……今からコレをお前にも使う。その前に効能を見てもらうとするか」
手に持っているのは注射器。男はそれを女性に打ち込む。
「あっ、アッ、アァ……」
少しの間を開け、女性は段々と恍惚の表情を浮かべる。
「どうだ?凄いだろ?」
男は下卑た笑みと共に痙攣している女性の顔をスーの前まで持ってきた。
「コレは普通のヤクとは違ってな、感情の受けとる量を狂わせるんだ。だから見ろ。この女は今とても嬉しそうだ」
「…………」
目の前で涎を垂らし満面の笑みを浮かべる女性を嫌で見せられる。男はお構いなく話を続ける。
「こいつも昔は違ったんだ。嫌悪の感情でいっぱいでなぁ。すぐに泣き叫ぶわヒステリックになるわでもう大変だった。でもな?加工を続けるうちにとうとう変わったんだ」
男はスーに背を向け近くの箱を漁り始める。
「人間の脳は不思議でな?嫌悪の限界を超えた結果現実から逃げようとしてな?全てを快楽に変換したんだ、そしたらほら!」
スーは黙って地面を這う女を見る。うわ言のように何か発してはいるがそれはもはや言語をなしていない。
「お前もそうなる」
「………………」
スーは黙って自分の身に降りかかる出来事を見ることしかできなかった。そしてスーの腕に注射器が近づいてきた。
「やだ!やめてください!よらないで!」
「ハッハッ!見ろよお前ら!さっきまでとはうってかわって喧しくなりやがった!」
男は周囲と共に楽しそうに笑いスーの顔を無理やり掴みあげる。
「そう、その顔だよ!お前みたいな奴が恐怖に引き攣ってる顔を見るとたまらないんだ!」
「ひっ……」
スーは薬によって自らの感情を抑えられなくなっていた。頭にあるのは嫌悪、恐怖。それらはどんどん大きくなりやがて溢れる。涙は止まらず足は震え、手足の感覚は鈍くなる。
「それじゃあ"加工"を始めるぞ?なるべく耐えてくれよ?じゃないと面白くない」
男がゆっくりとスーの下着を脱がそうと手を伸ばす。
「やだ!やだ!だれか!」
スーの叫びが廃ビル中に響く。その時。
「やめないか!」
行為を止める声が響いた。




