アナタと私の第1印象
「いやー懐かしいですネ」
「私はかなり恥ずかしいですけどね」
2人は出会った頃の思い出話に花をさかせていた。
「あれから大分経ってますもんネ。次の記録は……アッ」
机の上にあった端末に手が当たり落としてしまう。
「何やってるんですか、よいしょ。……はい、どうぞ」
「イヤーすいませン。懐かしさでテンション上がってしまったんですネ。そろそろ確認作業も終えて今日は寝ることにしますカ」
「そうですね、おやすみなさい」
ティーは自分の部屋に戻りベッドに入る。本来ロボットの彼に睡眠など必要なく、適当な場所での充電で事足りるが彼は充電をベッドで行なう事にこだわっていた。
「データの確認はほぼ終わリ。それにしてモ、コレが見つからなくてよかったでス」
そう言ってティーは自らのデータを確認する。そのデータは、先ほどスーが端末を拾うまでの間にさりげなく飛ばしておいたデータだ。
『それでも、少しだけでも考えてくれるなら嬉しい限りでス。スーさん、これからもよろしくお願いしまス』
差し出した手を彼女は取ってくれた。
その時の彼女の顔は満面の笑みを浮かべていた。
「これは見つかったらタダじゃ済まなそうですからネー」
彼女も気づいていなかったであろう笑顔。それはティーにとって1番印象的だった。
「フフフ」
ティーは自然と嬉しそうに笑う。彼女とならいつまでもやっていけるだろう。銀河を漂う宇宙船の中、平穏な時が流れていた。




