突撃隣の救難船
バチバチと電気のはじける音がする。非常灯の薄暗い光しかない通路を1人歩く者がいた。長い水色の髪が揺れる。
「周囲の状況は?」
彼女はスーと呼ばれていた。まだ幼さが残る容姿の彼女は装着しているヘッドセットに話しかける。
「2つ先の右側の部屋から反応アリ、目標ではあるでしょうけど警戒をお願いしまス」
「了解」
反応があった扉の前に立ち、横にあるボタンを押す。暫くするとガチャリと鍵の開く音がした。両手で持つ散弾銃に力がこもる。ゆっくりと部屋の中に入っていく。その時。
「☆+〒^<%○¥ー!」
「っ!!」
ドンと体に勢いよく何かがぶつかってきた。そのまま部屋の壁まで押し込まれる。後ろで扉が閉まり再び鍵がかかる。
それは人の形をしていた。自分より少し身長の低い子供のようだ。ただし、全身は黒く、目の位置はよくわからず、口は3方向に裂けてはいるが。
「+=°=→○^\〒!」
「くぅ」
力が強い。
何かを叫んでいるが何もわからない。壁に押し付けられたままの彼女はヘッドセットに向かって問う。
「なんて言ってますか!」
「エッとですネ、とりあえず+<〒と言ってくださイ!」
「+<〒!」
言葉というよりはただの音に近いそれを唱えると、急にその人の様なものは力を抜いた。
「〆=+○$%?〆=+○$%?」
「……ティーさん、なんと言ってますか?」
「本当に助けなのか聞いてますね、返事は○+ですよ」
「○+」
「〆=+○$%!」
彼は体全体で喜びを表現する。
「……さて、これでミッションは終わりですね。あとは彼を連れて帰るだけです」
一通り喜び終わった彼に声をかける。
「では行きましょう、キリゴ星の王子様」
そう言うと彼はこちらをよく見た後に、
「・€+?」
「ティーさん!翻訳を早くお願いします!」
私は首を傾げる彼を前に半ばヤケになりながら叫んだ。




