アナタと私の第1印象
「これは厄介な事になりそうですネ」
「ええ……」
私とティーは物陰に隠れていた。私達の目線の先には怪しげな男達が何か取引のような事を行なっていた。
次の仕事は第1銀河と第2銀河の間に発見された開拓途中の惑星の視察だった。視察と言っても基本的には無人機による環境整備がほとんどで最早作業機械以外の出番はない。それでも万が一を考え行われるのがこの視察だ。
「よし、これで契約成立だ」
「ヒヒヒ、今後ともご贔屓によろしくお願いします……!」
そして今、その万が一が起きていた。
「いいですかスーさん。ワタシがあの小物っぽい作業員らしき方ヲ」
「それじゃあ私はもう1人のスーツを着た方をやればいいですね。では行きましょう」
私達は物陰から飛び出した。
「なっ!?」
「誰だ貴様ら!」
「SS隊の者です。大人しくして下さい」
「SS隊……!いけ!お前ら!」
声と共に周囲から人が現れる。彼らの護衛のようだ。とはいえ数は少ない。これなら
「押し切ります」
「了解でス」
私は1振りのナイフを構えた。
「フゥ、1段落着きましたネ」
「……何言ってるんですか」
私は苛立ちを隠せなかった。
「なんでアナタは私が狙っていた人を狙うんですか。それでは効率が悪いです。それにそのせいで時間がかかって重要であろう2人を逃してしまいました!」
何故かティーは私と同じ相手を狙っていた。私が斬りつける1歩先にティーの暴動鎮圧銃が当たり戦闘不能を起こす。それの繰り返しだった。
「全くもって無駄な行動です。何の意味があってそんなことをしたんですか」
「いやーそれはそノ……」
「……」
言葉に詰まるティーは無視することにした。まだやる事がある。
「スーさん?」
「貴方でいいです」
「ぐっ……」
呻いている護衛の1人にナイフを突きつける。
「貴方、逃げた2人が何をしていたか分かりますか?分かるなら教えてください。分からないなら用はないです」
喉元にナイフをちらつかせる。
「ひぃ!やめてくれ殺さないでくれ!」
「じゃあ情報はありますか?」
「1人はこの星の無人作業機械の担当の男だ!」
「もう1人は?」
「わかんねぇ!ただ、かなりのお偉いさんなのは確かだ!」
必死に叫ぶ男を見てこれが演技による嘘ではない事を確認する。これでこの男に用はない。
「ありがとうございました。さよなら」
「待ってくださイ!」
「っ!?」
頭に強い衝撃を感じた。徐々に意識が薄れる。最後に見えたのは──。
「ほんと、さいあくです……」
こちらに向けて発砲したであろうポンコツロボットの姿だった。




