アナタと私の第1印象
「要望と違うんですがどういうことでしょうか?」
「まあそう言わずに」
私は本部長に問い詰めている真っ最中だった。
こう言うのもなんだが私は宇宙政府内の育成施設ではかなりの成績を残していた。今回も異例の飛び級からの卒業を経て、SS隊員になったのだ。隊員になる際にある程度の要望も通せるとも事前に通達されていた。なのにだ、
「私は1人で業務をしたいと要望したはずです。なんで」
私は隣にいるロボットを指差した。見た目はもはや絵本でしか見た事がないくらい初期のロボット。
「こんな古のロボットみたいなのと行動しないといけないんですか」
「まあまあ落ち着いて」
「そうですヨ。これから一緒に困難を乗り越える仲になるんですから仲良くしましょうヨ」
思ったよりもスムーズな返答と言葉遣いに私は少し面食らった。
「…………」
「なんでス?」
「見た目と違って中身は割といい性能してるみたいですね」
「照れますネ。褒めても何も出ないですヨ!」
何か言ってるロボを無視して私は更に本部長を問い詰めようと近づく、が。
「これはもう決定事項なの!いくら優秀でも新人のうちは最低2人で行動して、経過を確認するのが1番安全だからね!それに──」
一呼吸置いてからまた話を続ける。
「父親としても心配なの、わかって欲しいな」
「……」
そう言われると私は黙るしかない。男手一つで育ててくれた恩は忘れるわけもなかった。
「……すいません本部長。余計な手間をかけてしまって」
私はロボットに向き直る。
「オ?」
「以後よろしくおねがいします」
あまり乗り気ではないが手を差し出す。それを見たロボットは嬉しそうにモノアイを動かして手を重ねる。
「ワタシはみんなからティーって呼ばれてまス。気軽にティーって呼んでくださいネ!よろしくお願いしまス、スーさん!」
手を握ったままブンブンと振ってくる。なんて喧しい動きだろうか。それともう1つ気になることがあった。
「スーさん?」
「アナタのあだ名でス。なにカ?」
「……まあいいです」
この時の私は多分今までで1番不機嫌な顔をしていただろう。
こうして私はティーと行動を共にすることになったのだ。




