アナタと私と第1印象
第1銀河のとある星。そこにある巨大な工場はいま大事件が起きていた。工場内に響き渡る大量の怒号。その矛先はある部屋の扉に向けられていた。
ドゴン!ドゴン!と扉を叩き破ろうとする音が発せられる。
「……よいしょ」
部屋の中にはSS隊員が2人いた。扉を破られないように腰の黒い箱から様々なものを出して塞いでいるのは少女だった。長い水色の髪は誰が見ても彼女を一目で印象付ける。彼女の名前はスー。SS隊員の1人だ。
そして腰についてる黒い箱は一種の転送装置だった。本来は適切な武器を取り出して使うのだが今回は扉のつっかえ棒にしか使われていなかった。
「まだ終わりませんか?扉も大分限界近いですよ」
「待ってくださいネ。……ほうほウ。ココをこうして原子の数ヲ……」
呼ばれた彼は水色の瞳を動かし画面とにらめっこしながら返事を返す。
もう1人、いや、1機といった方が正しいのかもしれない。彼はロボットだ。子供が四角い積み木を重ねて作ったような昔ながらの頭と胴体が特徴的だ。四肢もこれまたロボットといえば、というようなシンプルなもので出来ている。瞳はモノアイだ。
ガガガガガ!扉の音が変わった。
「ティーさん多分これは扉を撃ちまくってますよ。弾はそこら中にあるからって贅沢なものですね」
スーはそう言いながら辺りを見渡す。壁には多種多様な弾丸が吊り下げれている。
この工場は別に兵器工場ではない。なのになぜここまで弾丸があるのか?謎はそろそろ解けそうだった。
「……ヨシ!プログラム作成完了!後ハ──」
「どうしたんですか?問題でも?」
不意に固まったティーを訝し気に見る。ティーは俄然止まったままだ。
「いやそんなはずハ……。プログラムを作成しテ、後ハ……」
「このボタンを押せばいいんじゃないですか?」
「アッ」
ポチりとボタンを押したスー。その瞬間。
キィィィィン
工場全体に甲高い音波が鳴り響いた。
「アーッ!わかりましタ!5分後起動に設定してからそのボタンを押すんですヨ!じゃないト!」
「じゃないと?」
変化はすぐに起きた。サラサラ、と壁に掛けてあった弾丸が崩れていく。光沢のある弾から白い粉に。瞬く間に部屋中に粉が舞い散った。明らかに弾丸の質量より多い粉が。
「あー……」
「これハ……」
その日、1つの工場が粉の質量に耐えきれず倒壊した。




