銀河系タイムアタック
『緊急着艦だ!重症者1名!すぐさま治療室に送る用意を!』
着艦場には幾人かの職員が配置されていた。頭以外が吹き飛ばされて尚生きているとの情報と共に。
「第3銀河はそんなのがいるのか?」
「知らん、あそこはまだまだ未知の星だからな」「そんな事より宇宙船が来たわよ!構えて!」
職員達は一斉に身構えた。ガチャンと扉が開く。その瞬間。
「ーー!」
「わっ!」「ひゃあ!」
影が素早く飛び出して行った。
「今のは……」
「スーさん待ってくださいヨー!」
職員達か宇宙船の方へ向き直るとキュラキュラと履帯を動かしながら出ていくティーがいた。
「……なるほど?」「頭だけでも平気で」「オペ(修理)をすれば直ると」
ドッと疲れがきた職員達はその場で立ち尽くしていた。その中の1人がふと疑問を口にした。
「だとすると飛び出したのはスーちゃんか。なんでそんなに急いでるんだ?」
「ちょっと!危ないよ!」「うわっ!」
「すいません、すいません通ります!」
スーは宇宙政府内を走り続けていた。対談まで後10分。対談前に必ず一度は挨拶をするはず。
「となると……!」
スーは思い至った場所へと全速で走る。
「待ってくださいほんとうニ!」
スーが通った通路を追う形でティーも続いている。
(ここを曲がれば……!)
曲がってすぐの《応接室》と表示された部屋の扉に向かう。
「ふっ!」即座に腰のBBから巨大なハンマーを取り出すと思いっきり扉に叩きつける。
ベキバキバキ!豪快な音を立て扉が吹き飛んだ先には。
「な、なんだぁ!?」
宇宙政府本部長に銃を向けてて今にも引き金を引こうとする男がいた。
(ーーーーーーーー。)
それを見た瞬間に思考が停止した。体だけが動き出した。
「おーー」
「くそっ!」
男が悪態と共に引き金を引く。
「おーー!」
「ぐっ!」
弾丸は本部長の肩を掠るように放たれていた。弾は外れたのだ。
「おぉーー!」
「ちぃ!クソがぁーー」
「お父様ぁ!」
「はぶぇあ!」
男を全体重かけ勢いよく殴り倒す。男はそのまま壁に激突。ピクピクと痙攣するオブジェと化した。
「ハァ、ハァ……」
肩で息をするスー。やがて落ち着くと倒れていた本部長ーー。
「大丈夫でしたか?お父様」
自らの父親に手を差し伸べた。
「あぁ、ありがとう。スー」
彼もまたその手を取り立ち上がった。




