銀河系タイムアタック
『あと1時間後には第3銀河の大使と第1銀河の宇宙政府本部長が初の対談に挑まれる事になります。これにより益々の銀河系の繁栄が見込まれ……』
宇宙政府本部ではその様な内容の映像を聞き流しながら着替える男がいた。
「急がなければ!何でこんな時に誰も起こしてくれないんだ!」
「ご主人様が『ギリまで起こすな』と命令なさったので」
側には真新しいスーツを準備してくれているメイドがいた。
「そういやそうだったなありがとう!優しさが仇に!」
スーツを受け取りすぐに履く。
「今日は大事な行事だからメガネもいいものにしよう」
「かしこまりました」
差し出された複数のメガネから1つを選びつける。
明らかに着慣れてないスーツを着る男。くせっ毛が目立つこの男こそがこの第1銀河の本部長だった。
「どうですか通信は?」
「テレビも映らないですネ」
2人は第1銀河に突入。本部へと速度を上げていた。ここまでくればもうすぐ本部へ着く。
「大使がくる以上警備は厳重なはズ。警備船の通信まで妨害したら怪しまれるでしょうからそこまで近づけば通信も使えるでしょウ」
「後はどう速やかに着艦するかですね……」
「はイ。普通に行こうものなら対談でこんな忙しい時でス。手続きでかなりの時間を取られるでしょウ。どうしましょうカ?」
悩みながら頭だけのティーはキャタピラをキュラキュラと回し旋回する。
「………………」
「?どうしましたカ?」
ティーは自分に向かう視線に気づいた。
「いい作戦が思いつきました」
『ん?あれは……』
警備船の1隻が近づいてくる宇宙船に気づいた。シグナル自体は自分達と同じ、着艦許可も求めている。だが、今日は対談の大事な日だ。警戒は必須だ。
『おーい、そこの船。今日は大事な日だからもし着艦するなら相応の手続きをだな──』
『そんな場合じゃありません。こちらには今重篤な状態の方がいるのです。緊急着艦の許可を』
相手の言葉を遮ってスーは着艦許可を求めた。
『緊急着艦?そんなに重体なのか?』
『そうです。まず下半身は吹き飛んでます』
『はぁ!?それは生きてるのか!?』
『なんとか。と言ったところですね』
『いやしかしだなぁ。そんな簡単に緊急着艦させるわけにも……』
『さらにいうと上半身も吹き飛ばされています』
『それ死んでるだろ!おい!』
『いえいえ、まだなんとか……』
『なんとかなんて生易しいもんじゃないだろう!』
『それが頭部が残ってるので今すぐオペをすれば100パーセント助かります』
『それ本当にまともな生物か!?……ん?』
ここで警備員は彼らの任務地の情報に気づいた。
『第3銀河が任務先だったか……あそこならそんな生物もいそうだな。よし、わかった、許可を出そう』
『ありがとうございます』
警備船は緊急着艦の許可を送る。しばらくすると少し遠くにある宇宙政府の着艦場の1つの光が点滅し始めた。
『あそこにむかえ!急いでな!』
『はい!』
スーは気合を入れて返事を返した。
あと30分。それが残された時間だった。




