表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
SS隊の惑星日誌  作者: たけすみ
110/158

2人のファンのMAXハート

スーは一陣の踏み込みから正面に現れるまでの動作の一切を知覚する事は出来なかった。

「貰ったぞ!」

「……」

いや、する必要は無いと判断していた。

2丁のうち1丁の銃の引き金を引く。狙ったのは自らの足元。パシュンと軽い音と共に撃ち出された弾丸が地面にぶつかった時。


キィィ!


と空気を引き裂く金切り音が鳴り響いた。


音響弾と呼ばれる弾だ。本来なら自らの位置を知らせるため等に使うそれをスーは使った。


「ぐっ!」

音に顔をしかめながらもビームソードを振り抜かんとする。流石は達人だけあって些細な事では殆ど怯まない。

「!」

そう、殆ど。自分でせっかく作ったごく僅かな隙を見逃すスーではない。振り抜こうとするその手に向かってもう1丁の方の銃を向ける。

パン。発砲音と共にビームソードの柄を吹き飛ばす。いつも使っているエアーガンだ。

「ぬう……!」

吹き飛ばされた柄を取りに行こうとする一陣の右手をスーは掴んだ。

「もらいました」


掴んだ腕を離さずに空いた手で攻め続ける。それを一陣もまた空いた手で受ける。彼は剣の達人だ。だが剣を持っていなくとも、左手だけでも、長い戦闘経験と知識の差は圧倒的に一陣の方が上である。それでもスーは一陣を圧倒していた。

「わしがこんな小娘に圧されるとは……」

「貴方はたしかに強いです。お孫さんのために頑張る貴方はもっと強いです。ですが貴方は大切な事を忘れてしまっているのです」

「なんだと?」

以前スーの優勢は変わらず。最早決着はつくところだ。

「思い出して下さい!私達の掟を!1番大事な事を!」

「っ!」

何かに気づきハッとした一陣の隙をスーは的確に突いた。大事な言葉を思いに乗せて。



「イエス!ジェノキュア!」

ドスン。スーの大きな声と共に今日1番の拳が一陣の腹部にめり込む。一陣はよろめきスーに覆い被さるように倒れる。それをスーはしっかりと支える。そして、一陣もまた言の葉を紡ぐ。思い出した、大事な掟を。スーの言葉の続きを。



「ノー……タッチ……」



「よくできました……!」

一陣は薄れる意識の中、優しい声を聞いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ