自由な星の住人の話
「そんなものこちらに向けるなんて物騒な話でス」
「手を上に上げてそれ以上動くな。弾は小型徹甲弾だ。この距離なら確実に君を破壊できる」
「……了解でス」
冗談も通じないとは。私は仕方なしに両手を上げる。今は外出用のボディでは無いので撃たれたらひとたまりもないでしょウ。
「で、何をしようとしていたのでス?」
「簡単な話だ、俺を自由の星に返して欲しいんだ」
「それは許可できませン。あなたは緊急脱出装置を使いましタ。その件に関しての手続きで向こう1年はあの星には戻れないでしょウ。それにその拳銃、それは違法改造品ですネ?それに小型徹甲弾は普通は入りませン。それに関しても伺いたいと思いますのでさらに時間が――」
ドゴン。と重い音とともに足元に穴が開く。
「オウ……」
「そういうと思ってたさ。だからこうして実力行使をしているんだ。あのお嬢ちゃんを人質として君には星まで操縦して貰おう」
私に銃をもう一度向ける。まあよくある事でス。やはり慣れ親しんだ星に戻りたいと人は思うのでしょウ。特にこの自由な星に置いては顕著だと記録してありまス。一度完全なる自由を体験してしまった以上もはやどんな事でも窮屈に感じてしまうのでしょうカ。私には判りかねまス。
まあ銃を撃った時点でこの問題は解決した様なものでしょウ。なぜなら――。
「こんな時間にうるさいですよ、目が覚めてしまいました」
銃を向けている彼の後ろの扉が開き、中から目をこすりながらパジャマ姿のスーさんが出てきました。クマ柄パジャマですネ。
「!」
ドン。2発目の銃声。足の付け根を撃ち抜かれ片足が外れましタ。そのままバランスも崩れ壁にもたれかかってしまう。
「ヒドイでス!痛みは無くても悲しみはあるんですヨ!」
そんな私の言葉も聞かずに彼はゆっくりと振り返ります。ああ、これは――。
「さあお嬢ちゃん、君もこんな風になりたくなかったらおとなしく――ガッ」
完璧に油断してましたネ?
スーさんの方に向き直した時にはもはや手遅れ。彼女はそんじょそこらの女の子ではないのでス。動揺1つなく即座に拳を打ち込み1発KO。そのままこちらに手を差し伸べてくれましタ。その手を取って立ち上がりまス。
「よくわかんないですけど、ティーさん大丈夫ですよね。とりあえず彼を縛っておくのでティーさんはボディの交換をしておいてください」
「運んではくれないんですカ?」
「片足で跳ねてもバランス取れますよねティーさん」




