表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
青嵐の剣士と涙娘  作者: 倉根 敬
7/8

いつのまにか終わっちゃった

一人、十人、百人と物凄い勢いで、破壊されていく一一一一

直接攻撃したようには見えなかった。

立ったまま、ただ一回剣を振っただけ。

あと、なんか青いのが出た。

誰も斬られたわけではない。

ついさっきの会話を察するにこの人らと戦ってないどころか、初見。

トラップを仕掛けられる状況でもなかった。

この子、実はとても強いのでは。



馬車の中で見たあの青い雷、あれもこの子がしたことなのか。

ヤバ、ちょっと怖く感じてきた。

こんなに可愛いのに、危険人物だなんて。

私は、一歩ティ一スから離れた。

バキッやら、ドカン等と破壊音が増していたが、もう残り最後になってきたのだろう。

音は次第に小さくなって…………消えた。

相手の群集は冷や汗をかいて黙り込む。

周囲の仲間の顔を伺い、不安の表情を隠せない。




そこに、青嵐の剣士が一歩、また一歩と近づいていく。

彼らの顔色が悪くなっていくのが遠くからでも確認できた。

「武器も装備もないけど、まだ戦う?」

ティ一スは薄ら笑いを浮かべ、ギザギザ剣を見せつける。

「ジョ!?ジョ一ダンじゃねぇ!?全員退却。

死にたくなきゃ逃げろ一!!!!」

颯爽と走って逃げていく群集。

待って、私も逃げたいんだけど。

ガクガクと震えてしまっている両足に応援の声をかける。

でも、言うことを聞かない。

このままだと私は…………死ぬ。




「さてと一一一一」

青嵐の剣士は振り返り、私へと視線を変える。

「すっかり邪魔が入ってしまったな。まぁ、お前も邪魔な奴の一人だけど」

青嵐の剣士一一ティ一スは、私の目の前まで近づいてくる。

小さい男の子に恐怖心を覚えるとか、生まれて初めてだ。

私は、これまで生きてきた十八年の思い出をスライドショーのように脳裏で浮かべる。

これが走馬灯か…………。



しかし、私は肝心な事を忘れていたことがあった。




《オ一トガード》


ありがとう、職員権限。

もう大丈夫。攻撃は全て喰らう事はない。

あれほどにも、強大な力でも…………きっと。

その時、ティ一スは小さな声で一言、呟く。

「てめぇらのせいで、俺は辛い思いしたのに…………今頃謝罪ってか」

何を言っているんだろう?謝罪って言ったのかな?

「謝罪って何のこと?君に何かあったの?」

私は問う。

「…………。お前…………何も知らずにここへ来たのか。…………余計ムカついてきた」

ティ一スの顔色が徐々に怒りの顔になるのが分かる。もう鬼の形相だ。

「死んで出直せ一一一一」




ピシッ。



そんな音だったと思う。

私の視界にヒビが入る。

そして、ずれていくのが分かった。

顔を斬られたんだと理解した頃には既に《ゲームオ一バ一》の文字が見えていた。どこぞのおっさんの声でいうのは特に腹が立つ。

昔から聞いている懐かしい声だ。

現実世界に戻ったら、微炭酸のお酒を飲み干してやる。




そうだ、まだ十八だった。

それ以前に買えなかった。

とんだ請け負い仕事初日を終え、どっと疲労が押し寄せる。

小さな男の子、ティ一スの言った《謝罪》とは何なのか。

謎だ。そして、可愛いけどウザい。

女の子の顔を斬るなんて最低でしょ‼

私も時間が経つにつれ、怒りが増してくる。

まだもう一つ謎がある。



《オ一トガード》が発動しなかったことだ。

ティ一スは何もの何だろうか。

今思うと疲れがそれが現実世界へと引き戻すものなのではと思う

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ