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青嵐の剣士と涙娘  作者: 倉根 敬
1/8

初仕事、貰っちゃいました❗

文章構成が上手く出来てないかもしれません。

どうか温かい目でお願いします。


「は? 今、何て?」


突然、私の大声がオフィス中に響いた。


「シ一一ッ 平間くん静かに!」

お前も平間だろ……と課長である私の父に心の中で突っ込んだ。

「いやね、次回出す予定の『デライト3』があるじゃないか」

ああ、なんだゲームの話か。


私は少し肩を落とした。

てっきり誕生日プレゼントに何か用意してくれているのかと思った。


実は今日、十月十日は私の誕生日なのだ。

毎年遅れて祝う父は今年こそちゃんと当日にしてくれると信じていたがどうやらそうではなかった。

「ひらまくん? 平間くん? お一い、明夏ちゃん?」



課長が不満げな私の顔を不思議そうに見ていた。

「なんだよパパ、いや洋士郎」

「こらっ、父親を下の名で呼ぶな」

父はキョロキョロと辺りを気にしながら一喝した。

いくら親子とはいえど会社の中で部下が上司を敬わないなんて言語道断。



一応、父なりに気遣ってくれているのだ。

「とにかく、新作ゲームを出す前にメンテナンス期間を設けるようになっているのだけど」と課長の口が止まった。

「だけど?」

私は尋ねた。

父はそれはもう深い溜息混じりに続けた。



「それがさ、同じ内容のクレームが多数来てな。何でも現在のデライト2のラスボス一一『セラル一シュ』が倒せないと言っているんだよ。このままでは人気が落ちかねない…………ということで、君の出番だ。」



うんうんなるほど、ボスが倒せないゲームなんてクソゲーですもんね。

「そんで、誰の出番ですって?」

「君だよ、平間くん」

「は?」

いやいや、冗談じゃないわよ。

思わず心の叫び飛び出しそうになったが、ここは社内ということを忘れてはいけない。

父とはいえ上司の命令は絶対だ。

今度、焼酎にワサビ混ぜてやると私は決心した。



しかし、出番とか言われても具体的に何をするのか知らないんだけど。

「あの課長…………」

「どうした?」

「ハード、いくらかかるんですか?」

恐る恐る私は聞いてみた。

給料日前であまりお金に余裕がないのだ。

「いやいや、ウチの会社、スマホゲーム取り扱ってるからハードとか販売してないよ」

そうなんだ、良かったぁ。

「よくそれでウチの面接通ったな」

「親の育て方のおかげです」



私は、普段、滅多にしない褒め言葉を使った。

「それじゃあ、アプリを落とせば良いわけですね」

「そういうこと、デライトはフルダイブ型のスマホゲームだから特別に何か買わないといけないという心配はないから」

なるほど経済面を配慮した物なのか。


私は一人で感心していた。

生まれてこのかた、まともにゲームなんてしたことがない。

したのはせいぜい『ももっち』という桃の形をした携帯用ゲーム機くらいかな。

よくうんちを溜め込んで死なせてしまうのだ。



「平間くん、この件引き受けてくれる?」

課長が私に尋ねた。



「分かりました。精一杯頑張らせていただきます」

私は渾身の誠意を込める。

「うむ、よろしく頼むよ」

課長は誇らし気に私に微笑んだ。



そして私は、焼酎にワサビを混入させる事をすっかり忘れてしまっていた。



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