四歳とは思えない
戦闘に於いてフォームを崩さないことは勝利条件と言ってもいい。ルドルフはフォームを崩さない為に筋持久力を鍛えようと思った。それに遅筋を鍛えれば同時に疲れにくい体も作れる。速筋が多少低下するかもしれないがその問題はおいおい考えよう。
ルドルフは筋肉に関する予備知識が無かった。授業でもまだ習っていない範囲だ。しかし低負荷でゆっくりやればいいという事だけはどこかで聞いた事があったので、出来るだけ激しくやり過ぎないようにしようと思った。
それから彼は腕と足を中心に鍛え始めた。アウグストが帰ってくるまで彼は時間を空けながら頻繁にスクワットや腕立て伏せに励んだ。勿論そればかりやっていてもバランスが悪くなるので腹筋や背筋などの他の部位も鍛えたが。
そしてアウグストが帰宅する日、彼は漸く正しいフォームを身に付けた。まぁ、身に付けたと言ってもゲルハルトに及第点を貰うレベルの完全とは言えないものだが。しかし、筋肉がそう早く付くとは思えない。短時間の鍛錬だからこそ不完全ではあったが、今後更に鍛錬すればより完璧なフォームが身に付く事が期待される。
それは良いとして、問題はアウグストとゲルハルトの間に起こった。焦点はルドルフに対する授業、鍛錬の時間だ。
「全く帰ってみれば、兄さん。ルドルフには勉強があるんだ。余計な事は教えないでくれるかな」
「余計な事とはなんだ。ルドルフも望んでやっているんだぞ。それに体は鍛えておいて損はない」
その後、なんやかんやあり結局、火・木・土は勉強、月・水・金は鍛錬、日曜日は休日となった。実の所この話はルドルフ抜きで行われたがルドルフもそれ程不満は無いので良しとしている。普通これだけの事をやっていたら倒れるだろうが、何度も言うように彼は努力家なのでそこら辺は気合いで乗り切っている。努力すれば何でも出来る筈が無いのに、殊彼に限って言えば『努力』という言葉が魔法のように聞こえるのは気のせいだろうか?
そしてめくるめく時は流れ、彼は四歳になった。その頃には体術はまぁまぁ喧嘩が強いくらいまでになり、勉強の方は中学卒業レベルの問題が九割方解けるようになった。チートレベルには達していないけれど人が出来る努力と言えばこれくらいのものだろう。勿論、四歳の中ではずば抜けているだろう。飽くまで全般的な能力に限るけれど。




