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異世界で復習を  作者: 白樺土竜
3/8

ルドルフ一歳。言葉と文字を覚えました!

 復習を行う前から既に簡単な、ママやパパなどの一語文は話せた彼であったが、だからだろうか彼の言語能力上達は著しく速かった。彼は来る日も来る日もビデオを再生し、言葉や文法を推察し、間違えながらもけれど着々と順調に言葉を話していった。


 ある日のことである。彼は先日覚えた「教えて」という言葉を使い、食器洗い中の母に尋ねた。


「ママ、言葉、教えて」


 彼の母はそれを快諾した。それから彼女は彼に様々な言葉を教えていった。物の名前から簡単な挨拶まで。彼は母が教える度にそれを反復し、「次は?」と尋ねた。どうせ後からビデオで復習出来るのだからと思ったのだろう。勿論、その場で覚えられる事は覚えようと努力もしたが。


 その日教えてもらった言葉はおよそ百。到底一日では覚えられない量である。吸収力の高い幼児ならまだしも、彼は体は子供だが頭は大人であった為幼児のような高い吸収力を持ち合わせてはいなかった。しかし、ここで諦める彼ではない。彼は「人間やってできない事はない」という言葉を本気で信じている程の努力バカなのである。彼はその晩ほぼ一睡もせずにそれらの言葉を覚えきった。まぁ、流石に眠くなって朝から昼にかけてぐーすか眠ったようだが。


 昼に目覚めた彼は母の元に行き、昨夜覚えたばかりの言葉を自信満々に言ってのけた。彼を他の子より少し賢い程度だと思っていた母もこれには心底驚いた。「凄い、凄いわルドルフ」などと彼を大袈裟に褒め称えた。息子が天才だと分かって有頂天である。彼女は更に彼に言葉を教えた。


 その夜、彼女は帰宅してきた夫に息子の天才ぶりを多少脚色しながら伝えた。

「ねぇ、あなた。ルドルフったら天才なのよ。なんと昨日教えた言葉を今日完璧に理解していたの」

「へぇ、それは凄いね。でもマルゴット。いくら何でも天才は言い過ぎじゃないか?」

「いえ、そんなことはないわよ。昨日私が何個の言葉を教えたか知ってる? 百個よ、百個。アウグストでさえ一歳の時は一度にそんなに覚えられなかったのに」

「百個! 百個か。それは凄いな。そうかそうか。うちの子は皆優秀だけどルドルフは更に期待できるな」

 彼らがそんな会話を交わしている時も、ルドルフは復習を続けていた。彼は今頃より効率的な単語帳や文法確認書、問題集を使っているだろう。


 『復習』に新たに加わった機能について補足しておく。まず単語帳についてだが、これは単語に限らず用語の資料集のようなものでその時々によって内容は変わる。書いてある内容はどれも、これを全て覚えたら最もその学習に対して効率がいいと判断されたものだ。その確実性は非常に高く、自分で雑多な用語の中から取捨選択する、もしくは全部覚えるよりは遥かに効率が良い。

 文法確認書は教科書のようなもので、これも学習内容によって変わる。こちらも単語帳と同じく最高のものだ。

 最後に問題集だが、これが一番凄い。なんとその時のルドルフの学習習熟度(具体的には重要なところや弱点)を鑑みて最も適した問題を出しているのだ。要はこれさえやれば大丈夫だということだ。


 それから半年、努力の天才ルドルフは日に日に言葉を覚えていき、二歳になる頃には遂に家族と簡単な会話が出来るところまで達した。日本で言えば平均的な小学三年生レベルである。


 それと同時進行的に文字も覚えていった。幸いなことに日本語のように平仮名、片仮名、漢字という三種類もの文字はなく、一種類で事足りたのでなんとか五歳児向けの本を読めるようにまでなった。この事で彼は母に更に天才扱いされたが、父や兄二人には何とも思われず普通の子供として過ごしていった。

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