第八章 UNIDENTIFIED GIRL
お久しぶりです♪(´ε` )
もうすっかり秋‥…というか冬?ですよね。
夜の気温が低くて寒いですね(ーー;)
すでに裏起毛の製品が手放せません…
ですが、まだ本編の季節は夏です、お楽しみくださいっ^_^
珍しくユメアが感情を露にしたことに驚き、テント周辺はシーンと静まりかえっていた。
ただひとり、少女が目に涙を滲ませ、その気迫にただただ気圧されていた。
「わっ…わからないの…自分が何なのかも…。だから…その、怒らないで…ください…」
すると、自分が取り乱していたことに気づいたユメアが「あ、ごめん…ね…」と目を伏せた。沈黙、少しの間気まずい空気が流れる。だがしかし、
「あの…聞いても…いいですか?私……状況が読み込めないのですが…。」
リリアがその沈黙を切り崩し、全員が思っていたであろう事について訪ねた。
「僕自信もあまりわからない…。だけど…今ので確信したよ…。僕は、一部の記憶を抜き取られたんだ。僕じゃない誰かに。ただ…まだ記憶の残骸のようなものが残っていて…それがさっきふいに思い出したんだ」
…?ということは…?
ユメアは確かに重要で大まかな記憶はあるがな記憶は誰かに消されてしまった。ただ、完全に無くなった…というわけでは無いようだ。
俺が思うに…ユメアの記憶を消したのはさっきユメアが言っていた【マリア】という人物だろう。ただ…コイツは情報が少ないし絶対とは限らないが…。
「…そうですか…なんていうか、もどかしいですね」
悲しそうにリリアが目を伏せた。すると、リンが
「…うん……。でも…この『New World Program』の創始者ならきっと真相にたどり着けると思う…。それにその子も同じ状況なら……?」と言った。
うん…そうだよな…。
ん、リ…ン……!?
「リン!?いつからいたんだお前!?」
リンが真顔のまま首をかしげる。
「最初から……居たけど?」
「僕もね~♪」
リンの後ろからマリーが顔をのぞかせた。
「二人ともとんでもない影の薄さだな…」
アイリは何も考えずに言ったのだろうが、とんでもない破壊力だった。……いろんな意味で。リンとマリー、あと例の少女以外ブフッと吹いていた。
「まぁ……いいんじゃないか…その話は…それよりコイツは…えっと、名前も覚えてなかったんだよな…」するとリリアが察したように、
「そうですよね、名前…呼び方とか決めておきませんか?せっかくですし♪」話を切り替えて持ち直す。
皆も同意しさっきまでの緩んだ空気がさらに少しだけ緩んだ。
「うーん。やっぱぁ~女の子ですしぃ~かわいい名前~ですよねぇ~♪」
ユーリが空書きをしながらを見ながら楽しそうに考えてる。やはり誰でも《名前を付ける》という行為には気合いが入るのだろう。
「あっ、そうだ!!『白玉ちゃん』何てどうかな~?」
突然、ハルアが妙案でも思い付いたように顔をパァッと明るくして言うが、幼稚園児か小学校低学年の女子が考えそうな名前だ。だがまあ『白玉』の線は良いと思う。
白玉……白…シロ?みたいで水着も丁度白色だし…なぁ?
「まぁ、ここは間を取ってシロで良いんじゃないか?」言ってみた。自分でもなぜシロなのかはわからないが…。なんとなく。
俺の言葉に女性陣からあまり良い評価は出なかった。…が…
「私ッ…!!えっとそれで…いいです。あの人に同情したわけではないので、勘違いはしないでくださいね…?」
少女…いや、シロは照れを隠すように早口で捲し立てた。すると、
「シロちゃんはちょっと言いづらいのでぇ、しーちゃんって呼んでもいいですかぁ~?」ユーリが聞いた。
シロが「好きなように呼んでください。」と言い、下を向いて嬉しそうに微笑んだ。
「あら、もうこんな時間…かなり時間がたってましたね…。そろそろ宿泊施設に向かいましょうか♪」リリアが言う。
だが、シロの泊まる場所があるのだろうか?などといろいろ考えていると、察したようにシロが、
「私のことなら大丈夫です。私は正規なプレイヤーではないので…それに私は現在は実体が見えていますが、このように……」
突然、シロが光に包まれ消えてしまった。だがすぐに、頭に直接声が聞こえる。
「おっと…スミマセン。ちょと【vision】を開いてもらえますか…あぁ、【vision】というのは皆さんが使っている操作コマンドのことです」
そう言われて初めてvisionという名前を知った。…大概俺も何も知らないんだな…。
ヘッドフォンを触り画面を出すとシロがvisionの中で…浮いていた……と表現して良いのだろうか…何か、中に入っていた。
「まあ、なら大丈夫だろ」独り言を呟いた。
実体化したり電子化する奇怪な少女…か。おかしな話だな…。
施設に着き、手続きを済ませ受付から鍵を2個貰い部屋に着くとそこは和室のような落ち着きのある部屋だった。
みんな疲れたのか畳に倒れ込み、そのままゴロゴロしていた。
「あぁ。そういえば、わかってるとは思うが、部屋を男女で分けて借りたからな」
そう言うとアイリがめんどくさそうに俺の手から鍵を取っていった。
「そーですよねぇ…どんなハプニング❤︎があるかわかりませんもんねぇ…。」
何を想像したのか、ユーリがにやにやしながら息を荒くしていた。
俺の頭によぎる不安…ユーリって変態なのか!?
「えぇ、そうですよね。何があるかわかりませんし、シロさんの詳細も知りたいです♪」
上手く修正したのかそれとも純粋で気付かなかったのかリリアが話を戻した。
「そうだな…。シロのことは女のおまえらに任せるよ」
そう言うとリリアが得意気に「わかりました♪」と答えた。シロの声は相変わらず頭に届くから「よくわかりませんが……はい。よろしくお願いします」と照れながら言っているのがわかった。
その後、女子に動いてもらうのもアレなので、ということで男子がもうひとつの鍵についているプレートの番号の部屋に向かった。
ドラ◯エ歩きみたいに、ユメア、リン、マリーもついてきた。
「楽しみだねー♪お泊まり会♪」
マリーが小さな子供のように笑った。
先程までの部屋と同じような部屋に入り、時間をチェックする。
今は…午後7時半か、もうっかり夜だな。
すると、mailのアイコンが点滅していた。開くとリリアからのメールだった。内容は、
『私達は今から露天に行きますが来ますか?』というもので…って!?
まさか混浴か…?!と一瞬心をときめかせたが、リリアがそんな意味深な行為はしないだろうと気付き、残念ながら男だけの風呂を楽しむことにした。そして
「なぁ皆、風呂行かないか?」
と皆に声をかけると全員一致で賛成だった。
「そっか…皆でお風呂……。今まで一人だったし、したことがなかったから楽しみだな…。」
と言いながらリンがタンスから上がったときに着る浴衣を取り出した。俺も同じように取り出しておいた。だが、
「ねぇ…ユウマくん。混浴だったり…しないかな?」
「はぁっ!?」顔が真っ赤になる。
マリーが不意にその話を持ち出したのだ。
いきなりのその言葉に驚きを隠しきれなかった。それに純粋な少年のイメージのマリーがこんなことを言ったのもある。
いや、純粋な少年だからこそだろう。
「やッ…やっぱ何でもないよ!あの…もっもし僕が女の子だったとしても混浴なら目立たないかもしれないし!!」
マリーが冗談めかして顔を赤らめながら言い訳をするが、やっぱりマリーも男だ。どうってこともない。
「大丈夫だ。女の子が気になる時期だもんな」
と俺がからかうようにマリーの肩に手を添え言うとマリーが俺の服の裾をギュッと握りしめ真っ赤な顔をして「そっそんなんじゃないよっ!!」と否定した。
そのまま風呂につくまでマリーで遊んでいると長い廊下もあっという間だった。
のれんはやはり男女でわかれており、男湯であろう青色ののれんをくぐると、中はロッカーが綺麗に整列してあり丁寧に籠まで完備してあった。
適当な場所を選び、服を脱いで腰にタオルを巻き付けて湯船に向かった。
いかにも和風そうな風呂に浸かりふぅっ…とため息をつく。今日はけっこう疲れた…。
そのまま少し伸びていると、さっきの事をまだ気にしているのかまたマリーが俺に「違うからぁ~っ!!」とか言いながら抱きついてきた。怪しさは増す一方だ。(いろいろ)
そんなマリーに追い討ちをかけるように「そういえば隣って女子風呂だよな…」と言うとまるで他人事のように「気になるの?」と真顔で言われた。そこは乗れよ…。
「どうしたの?…ユウマ」
俺の隣にリンが入ってきた。
リンにさっきまでの話をすると「うん。そういうときあるよね…。わかるよ」とマリーにむかって言った。
またマリーが「もーなんで言うのぉ…」と文句を垂れていた。
「まぁ…男の子としては普通だと思うよ」
ユメアもリンの隣に入り湯に浸かる。いつの間に話を聞いていたのかユメアも参戦してきた。
その後は、男ならでは~な他愛のない話をしながら盛り上がっていた。
あっという間に時間は過ぎて、
湯から上がり、体を拭き、浴衣を着た。
みんなの着替え終わったところで部屋に戻ることにした。
するとその途中で女子達に会った。リリア以外は部屋に戻ってもらいリリアからシロについてわかったことを聞いてみたが「唯一わかったことは…以外と胸が大きいことですかね?」とのこと。
ふざけて言っているのだろうか。こんな年頃の少年言うのは毒になるぞ。嬉しいけど。気を取り直し、考える。
「まだ有力な情報は手に入っていないってことか…。」
リリアが唇に人差し指を当てながら考えている。
「そうですね。そちらは?」
とくにわかったことはないが言う事があるとするなら…
「俺も有力な情報は無いが…。言うならマリーは…」
そこまで言い、口を紡ぐ。
リリアはその先が気になるのか「マリーさんが…?」と聞いてきたが「何でもない…」と軽くかわした。
リリアは何かを察してしまったのか、詮索するのを止め「そうですか…。まだ情報が必要ですね。では、おやすみなさい♪」と簡潔に済ませ自室に戻った。
部屋に戻ると布団がひかれており、枕が四方八方に飛んでいる…というありがちな光景だった。するとたまたま飛んできた枕が顔面に衝突した。
「ゴメン…ユウマ。えっと、ユウマも枕投げする?」
リンが枕を差し出し聞く。
「いやいい。それより早く寝ようぜ。」
散らばっていた枕の1つを布団の上に置き、寝転がる。ユメアが「それじゃあ僕も寝ようかな…。」と投げようと持っていたであろう枕を俺と同じ布団に並べ布団に潜り込んできた。
「ちょっ…ユメア?」
リンもノリに乗って「それじゃあ僕も」と布団に潜り込んだ。マリーは本気なのか「えーズルい~!!僕も~!!」と言ってリンと俺の間に割って入った。
「ちょっと…お前ら…。自分の布団に戻れ…」
ぎゅうぎゅうと押し合いながら布団を奪い合う…いや、もしかしたら俺の取り合い?いやいや…男同士できめぇわww
リンとマリーは「えー」と棒読みで言いながら他の布団に入っていった。
「ユメアは行かないのか?」
と、他にいくように促すとユメアは、
「一人は…寂しいから…」
と浴衣の裾をギュッと握りしめ消えそうな声で言った。
吸血鬼のクセに?じゃあ、
「いつもはどうしてるんだよ…。」聞いてみる。
「ペンギンのぬいぐるみ…じゃなくてH2OとCO2が一緒に…」
少し目を潤ませてじっと俺を見つめる。
もしかしてそいつらの情報も役に立つのでは…?
「その…ぬいg((←、H2OとCO2にいての情報とかは無いのか?」
俺が尋ねるとユメアがうーんと唸り「あまり…」と言った。
「あるとしたら…あ、くしゃみするだけで惑星が1つ滅びる…とかかな?」
「破壊神!?」
つい突っ込んでしまった。
話を切り替えるためにちょっとテンションを上げて「なぁなぁそれよりなんか好きな人とかさ~話そうぜ~」と振ってみた。すると後ろから声がして、
「僕は…もちろんハルア」
とリンが食いついていた。
それに便乗するかのようにユメアが「う~ん、僕はやっぱりユウマかな~」
と言っt…!?ユメア…まさか…お前。
「え!?みんないるの!?…はぁ~それじゃあ僕は彼女募集中だね~」
と、どうでもよさそうにマリーが言った。「それで、ユウマくんは?」とマリーが聞いてくる。
「俺は……俺…は…?」
自分も言おうとするが言葉が詰まってしまう。皆が目をキラキラさせながら俺の顔を見つめるため「い、いるわけないだろ…」と話をかわし、早く寝ることを皆に促した。
今一瞬、自分が何なのかわからなくなったような…。
まあいいや、俺も早く寝よう。
いかがでしたでしょうか?
次は夏祭り…とか書きたいですね…(((o(*゜▽゜*)o)))ワクワク
ではまた次話でお会いしましょう♪