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一章  『王国と学生と』 1-(1)

設定的な部分を詰めすぎたかも知れません。

めんどくさかったら飛ばしてください。

連載が終わったらまとめて載せようと思います。


 ソルブルク女王国。

 リブアース大陸中央に位置するこの国は、西にベナユン山脈、東にエロール湖を有し、天然の要害と豊かな資源に囲まれた王政の大国である。エロール湖からの豊富な水資源、ベナユン山脈に眠る森林資源、鉱物資源。古くからその天然資源を背景に栄え、国土の三分の二を占めるロンダル平野の恩恵もあり農耕を主産業に発展を遂げてきた。近年は魔素エーテルの普及により工業化も進み、王都ラヴァイールを先駆けに農業と工業の転換期を迎えている。

 また王都ラヴァイールには大陸一と言われる教育機関が存在し、リブアースにおける文武学問の聖地としても認知されている。

 順調な発展を遂げているように思われるソルブルクであるが、実はそうでもない。この国はここ四年の内に二度の内戦を経験している。どちらも王位争奪を名目に起きたものだが、これにより主産業、インフラ共に多大な損耗を受けており、現在も各国との調整を最優先に、交易や資本集中度の高い「内戦に脆弱な部門」の復興途上である。

 事の発端は四年前。ソルブルク太陽暦一九七五年。

 先々代の国王、ランスロト・レクス・ソルブルクの崩御を皮切りに起きた第一の内戦が全ての始まりであった。

 これは継承権第二位のジェフリー皇太子が、継承権第一位で実兄でもあるフェリックス皇太子を暗殺した事に端を発した。

 当時の大十字(軍事階級の最上位)アンドレアス・ランドルフ将軍率いる中央軍総司令部との密盟を取り付けていたジェフリー皇太子は、半日もかけず王都を内部から崩壊させ、半月の内に反抗勢力を一掃しソルブルクをその手中に収め、王位の簒奪に成功したのである。

 そしてそこから始まったジェフリー王の中央集権的独裁体制。

 内戦前より金によって癒着していた子飼いの官僚の地方への赴任。これにより中央、地方の行政は腐敗し、国内は一気に怨嗟(えんさ)の声で満ちる事になるのだが、それも三年で終わりを告げる。

 現女王でありソルブルク王国第一皇女、ハルメリア・オブ・ソルブルク率いる反乱軍によってジェフリー政権が打倒されたためである。一年に渡ったこの内戦は隣国を巻き込み苛烈を極めたものの、最終的には反乱軍が王都を陥落せしめ終結する。

 そして現在に至るわけだが、ここに至るまでに払われた犠牲は多大なものであり、それは人命、生産資源、国防資源を筆頭に数え上げればきりがない程である。二度の内戦による戦死者は十数万にのぼるとされ、幾万もの尊い命が失われた。

 しかしこの悲劇を乗り越え国が復興に向かっていることは確かである。数年のうちに過去の負債を清算することは可能であるとの試算もはじき出されるなど、展望は明るい。それは(ひとえ)に新女王の手腕であることは疑いないだろう。

 ただ、近年ソルブルクには別の問題が生じている。

 政情不安は解消されつつあるものの、長く続いた政治不信により国王の王都での権限が著しく低下した事である。

 そしてその四年の間に王都での影響力を増した組織がある。

 それが王都の三番区画に位置し、他区画の三倍の規模を誇る学園国家区画ラヴァイール。通称学国である。

 

 

  2

 

 

「いるんだろう? フェイオン・セイト」

 決して大きくはない、それでいて凛とした声が辺りに響き渡った

 。ここは学国の中央に位置する商業区画。

 昼時には多くの学生で賑わう飲食スペースだが現在一五時二〇分を少し過ぎた辺りであろうか、人気もまばらな時間帯である。にも拘らずここに大きな人だかりが出来ていた。

 その中心には対峙する二つの影。

 一人は長い銀髪を後ろで束ね、凛とした眉を釣り上げ、さも不機嫌そうに仁王立ちする美少女。腰には刀剣らしきものが掛っており、この年代の少女には似つかわしくないものの、何故かそれすらも彼女自身と調和しているように錯覚させる程の存在感を放っていた。美少女と言うにはいささか男らしさが見え隠れしているような気もするが、それもある意味少女の美しさを引き立てているように見えなくもない。

 少女は周りを探るような素振りも見せず、中心で自身と対峙する老け顔の青年を睨みつけていた。すると。

「うぃ~……、ちょっと道開けてくれや」

 野次馬衆の中からにょきっと一本の腕が伸びたかと思うと、それが人混みを掻き分けながら進んでくる。

 途中で「いてっ!」とか「おいコロン! 何処、掴んでんだお前わっ!?」とか、「フェイちゃん、前見えね……」とか、「タスケはどこ行きやがった……」とか、「ここでーす!」とか、にょきっと腕が生えた五〇メートル先ぐらいから聞こえてきたりしていた。

 そしてようやく。

「お、抜けた」

 と、現れたその男。

 頭髪は黒髪で頭はぼさぼさ。その質の悪そうな髪の毛を無理やり後ろに流している為か、所々ハネまくっている。

 そして何より特徴的なのはそのやる気のなさそうな目である。

 一見、切れ長で東国人特有の様式美を持っている様な目ではあるが、疲れからなのか、それとも精神的なものであるのかは分からないが、淀んでいた。ひどく淀んでいた。

 少女はようやく視線を老け顔の青年から外すと、人混みを掻き分け出てきた男フェイオンを見て口を開く。

「相変わらずと言うか、いつにもまして目が死んでいるな」

「おいおい。この目は労働を極めし者が持つと言う聖なる目だぞ?」

「何が聖なる目だ……。そんな淀んだ瞳、魚類以外で見た事ないわ」

「お前、それは魚類と俺に失礼だろ……、てあれ? あいつら」

 意味不明な会話の中途、何かに気づいたのかフェイオンはあたりを見回す。すると地面にうつぶせで突っ伏す小さな女の子が一人。

「おいこら起きろ小動物。そんな所で寝たら腹壊すぞ」

 女の子の前まで歩いて行ったフェイオンは見下ろし、女の子の頭頂部にある結び目を鷲掴みにしてぞんざいに言い放った。

 するとその声に反応したのか女の子は顔をあげて「……った」

「あん?」

 良く聞こえなかったのかフェイオンが聞き返すとよりはっきりとした声で。

「可弱い私が掴んでいた腕を振りはらって置いてったな……」

「そりゃお前が変なとこ掴むから」

「変なとこってどこだよっ!? 具体的に言ってよっ!?」

 がばっ、と顔をあげて謎の抗議をする少女。その顔は怒りからか悲しみからなのかはわからないが紅潮していた。

「お前は俺に何を言わせたいんだっ!? 馬鹿なのか? お前は脳まで小型サイズなのか?」

 当然と言えば当然の反応を見せるフェイオン。

 全く悪びれないフェイオンに抗議の意思を示す為なのか、少女はまたしても突っ伏し、そしてわなわなと震えだした。

「……おい」

 傍から見れば泣いたんじゃないか、と思われる状況だがフェイオンはそうは思っていないようで、逆に不気味なものを見るような不信感丸出しの声色で話しかけている。すると、

「くっくっく……」

 少女の口から不気味な声。全然泣いていなかった。

 と言うより悪い顔をしていた。

「どうした小動物ー。とうとうおかしくなったのか? 言っとくけど、医者にかかる金はねぇぞー」

「フェイちゃんはどうやら大事な事を忘れてるようだね……?」

 フェイオンのひどい物言いを物ともせず、少女は殊更悪い笑顔で呟く。

「何だよ……」

 嫌な予感。

「今日の夕食当番は誰なのかな?」

 フェイオンはそれを聞いて一瞬固まり、

「…ッ!? そ、そそそそ、それがどうしたってんだ……」

 と、明らかに動揺した表情を浮かべ、小者臭全開で震えだした。

「今日の私は夕食当番……。つまりフェイちゃんの命は私が握っているも同然。せいぜい気をつけるがいいんだぜ……」

「お前、何するつもり!? 俺の飯に何を盛るつもり!?」

「盛るどころか、むしろそれ自体を食卓に並べてやる……」

「隠せよ!! せめて殺意隠していこうよ!!」

 当事者以外が完全に置いていかれる身内ワールド全開の話だが、当人達は至って真面目に、と言うよりむしろこれが本題と言わんばかりの茶番を繰り広げている。毒物が並ぶ食卓とはどういうモノなのだろうと、銀髪の少女は一瞬考え、すぐに考えるのをやめた。

 そんな中、かなりの時間放置された男が一人。

 この輪の主役の一人であるはずの老け顔の男が、しびれを切らして止めにかかる。

「お…ッ!」

 だが、

「いやぁ、やっと出られましたよー。もうちょっとで勁が暴発するところでしたぁー。師匠! 僕また一つ成長しましたっ!」

「あ…のぅ…」

 新たな登場人物によりあえなく失敗。

 短髪直毛でつんつん頭、目がくりっとした少年が爽やかな笑顔とともに現れた。少年は何か嬉しい事があったようで、嬉々としてフェイオンに話しかけている。ところが当のフェイオンから反応が返ってこないため、少年は改めて、

「あれ? どうしたんですか師匠……」

 と声をかけた。

「いやぁ、コロンの奴がさぁ、いつもの奴でぐずってんだよ……。タスケあれ持ってねぇか?」

 タスケと呼ばれた少年はフェイオンとふてくされた少女を交互に見やると、一瞬で状況を理解したようで、

「任せてください師匠!!」

 と、声をあげ何やら懐をごそごそと探っている。そしてしばらく探った後に出てきた物、それは何の変哲もないチョコバー。タスケはその包み紙をきれいに取り去ると少女の口に近付けた。

「コロンちゃん、これをば……」

「はむっ!!」

 近づけた途端、アロワナ的なスピードでチョコバーを丸呑みにするコロン。それはまさに餌付けされたペットそのものであり、その顔は満足したのかほくほくで、テカテカしていた。

 それを見て安堵したのかフェイオンは一人大きな溜息をつく。

「毎度の事ながらこの不毛な時間を返してくれ……」

 そう独り言を呟くが、隣にいるタスケは笑いながら、

「いや、でも師匠がコロンちゃんをちゃんと見てないから」

「五十メートルも目を離してたお前に言われたかねぇ」

「ですよねぇ」

 タスケはばつの悪そうな笑顔をげんなりとしたフェイオンに向けて、頭を掻く仕草を見せた。何故か全て終わったかのような達成感を感じている雰囲気の三人だったが、そこに我慢の限界に達していた老け顔の男が忍び寄る。

「無視すんなやこらぁあああ!!」

「どわッ!?」

 散々待たされた老け顔の男の意を決した怒声が響き渡った。

 腹から声を絞り出したためか膝に手を置き肩で息をしている。

「私もそろそろ始めたいんだが」

 少しだけ同情したのか、仁王立ちで静観していた銀髪の少女もやれやれと言った面持ちで同調した。

「おい、こんなふざけた奴が判定官なのか? 探せばもっとましな奴がいるだろ」

息を整え終えた老け顔の男の不満げな声。これは銀髪の少女に向けられたものだ。銀髪の少女は表情も変えずに返答する。

「不本意だろうが我慢してくれ。こんな奴だが判定官としての目は確かだ。もっとも、ふざけた奴と言うのは全面的に同意する」

「ひでぇ言われようだな、おい……」

さすがに黙っていられないフェイオンも口をはさんだ。

「なら仕事ぶりで証明するんだな」

「へいへい……」

だるそうに返事をするフェイオンだったが、すぐに銀髪の少女の鋭い視線に姿勢を正す。

 すっかり忘れていたと言う事をごまかしつつ、フェイオンは対峙する二人の間に足早に歩み寄ると、ゴホンと軽くせき込み、この場所にやって来た当初の目的を果たすため、畏まった口調で話し始めた。

 

 

 

 学国のシステムが大きく変革したのは、他国から人材の流入に拍車がかかって後の事である。

 戦乱が終わりを告げ、十大国の時代が続いて久しく、大陸が束の間の平和を享受していたこの時代。

 各国は比較的平和なこの時代に他国よりも軍事的、技術的優位に立つべく人材育成に力を入れていた。そこで白羽の矢が立ったのが旧王立ラヴァイールアカデミーである。

 名称にも名残があるように、元は百年程前にソルブルク王が次代を担う軍事的エリートを育成するために設立したものが旧王立ラヴァイールアカデミーの前身であるが、これを当時の国家予算相当で買い請けたのが現理事長の家系に連なる豪商のレラーズ一族であった。何故この施設に目を付けたのか詳細は不明だが、レラーズ一族はある目的の為にこの施設を買い請け、その際に築いたソルブルク王との太いパイプを利用し、国内外の様々な事業に関わっていく傍ら、施設の従来の教育機関としての性格を長い年月を掛けて改変していった。

 しかし、この改変の過程には大小様々な問題が山積しており、何もかもが順調に推移していった訳ではない。

 その中でもとりわけ立地の問題は致命的であった。

 ソルブルクの王都に居を構えるアカデミーにとって、ソルブルクから受ける干渉を懸念せざるを得ない事や、教育機関と言う性質上、逆に各国の軍事力が労せずソルブルク国内に進駐出来てしまう可能性がある事などがそれに当たった。各国の貴重な人材を預かっている以上、安全保障の問題は切っても切り離せず、一つの命題としてレラーズ一族の前に立ちはだかったのである。

 加えてアカデミー創設以来、ソルブルクは他国への侵攻も他国からの明確な侵略も受けていなかったが、もしそのような事態に陥った場合、最も懸念される戦時下におけるアカデミー内への干渉を防ぐ手立てがなく、この現状を打破しない限り、一族は目的の達成が不可能に近いと考えた。

 依然、西国一帯では紛争や国境での小競り合いが絶えず、ソルブルクとていつ対岸から飛び火してもおかしくない情勢だったのである。結果、各国からの人材の流入が滞り始め、ただ手をこまねいていられない状況に陥った一族は、これを解決する為に力技に打って出る。

 その豊富な資金力と技術力を背景に各国との折衝、ソルブルクとの交渉を重ね、アカデミーをいかなる他国の干渉をも受けつけない特別指定区域にするべく動き出したのである。

 二〇年に渡る地道な交渉は紆余曲折を経るが、レラーズ一族はアカデミーを対象としたリブアース初の国際条約の締結にこぎつける事に成功した。

 それがソルブルク太陽歴一九五五年に締結され、施行された学園国家区画不干渉条約と、同年に成立した学園国家主権法である。

 これはこの条約文言の一部を借り受ければ、

 《いかなる国又は国の集団も、理由のいかんを問わず、直接又は間接に学園国家内の学内問題又は対外問題に干渉する権利を有しない。したがって、学国の人格又はその政治的、経済的及び教育的要素に対する武力干渉その他すべての形態の介入又は威嚇の試みは、当条約に反する。》

 という物である。これはもちろん、学国から他国に向けても適用されるものとされる。

 また、同年施行の主権法には各国憲法を元に作成された規範も含まれておりこれを事実上の憲法と定め、旧王立ラヴァイールアカデミーはその名を学園国家区画ラヴァイールと改めると共に、各国代表、学園理事の連名をもって学園国家の建国を宣言した。

 

 

 

「えー……。判定官フェイオン・セイトの名において戦技ストラグルの開始を宣言。チャレンジ」

「レニー・ケンプだ」

 老け顔の男がそう名前を宣し。

「アセプト」

 次いでフェイオンが銀髪の少女に向かって言うと。

「ハリエット・フォスター……」

 銀髪の少女はそう名乗った。

 戦技ストラグル。

 これは学国の法に(のっと)った決闘であり、学国における社会的弱者を救済する為に考えられたシステムである。

 この場合の弱者と言うのは学園内の序列を指すと共に、金銭的、つまり経済的弱者の意味合いも含まれる。

 学園国家を宣して以来、学内の全ての運営、つまりおよそ国を構成する為に必要とされる組織の運営は学生によって行われている。五万人を超える学生の一人一人がこの学国の国民であり、自らの学費、及び最低限必要とされる生活費を組織に所属する事で賄っている。

「承認。おいそこらの野次馬、さがれさがれっ。怪我すんぞ」

 フェイオンはめんどくさそうに、野次馬の輪を下がらせる。輪だった人だかりは、ばらけながら何故かほぼ全員がハリエットの後方に引かされた。

 これは言っておくが、フェイオンの誘導によるものではない。

「こらこら! 何でそっちに集まるんだてめぇらっ!?」

「文句言うんじゃないよ。お前そりゃ、どっちが危険かって言ったらお前のいる方が百倍ぐらい危ないのは猿でもわかるってぇもんだろ」

 ハリエット・フォスターは強い。これは五万人を有する学国に置いて、知らぬ者はいないとは言わないが、概ねで常識である。

 学国には戦技能ランクと言う物が存在する。

 これは半年に一度行われる適正試験の一部を元に判定されるものであり、詳細に言えば勁力学、紋章学、実践武術科目の総合点を数値化し、格付けしたものである。

 このランクは戦闘技能に特化した技術を総合的に判断するもので、高い者ほど戦闘に特化しているとする一種の指標である。

 しかしあくまでこれは指標であって、実戦における優劣を表すものではない。

 そして戦技ストラグルとは、このランクによって得られるポイントを奪う目的で発動する行為であり、このポイントは個人、あるいは個人が所属する組織に予算の名目で振り分けられる。戦技能ランク以外の点数または戦技能ランクを含めた総合点ももちろん順位付けされ、ポイントとして加算されるが、戦技ストラグルに適用されるのは戦技能ランクのみであり、このランクはその為に存在すると言っても過言ではないのだ。

「こいつのランク知ってるか?」

 フェイオンはハリエットを指さしそう尋ねる。

「知ってるさ……。ランクでは負けてるかも知れねえが実戦は別だ。俺にも勝機はある」

 レニーはよほど自信があるのか、既に目をぎらつかせ、体が勁を含めて戦闘態勢に入っているようである。

 それを聞いて視線をハリエットに向けて。

「だってよ?」

「構わない。もう慣れた……。時間を取られるのは億劫(おっくう)だが、私にとっては都合がいい」

「以外だな、金に困ってるようには見えねえが」

 ランクやこれまでフェイオンが判定官として見て来た戦闘を鑑みれば、学国入学以前から余程高等な教育を受けて来ただろう事は容易に想像できていた。どこぞの王族貴族が珍しくない学国内において、ハリエットもその類だろうと思っていたが違うのだろうか。そう考えている内にハリエットが口を開く。

「私は……いや、お喋りはここまでにしよう」

 何かを言いかけて語る必要がない事に気付いたのか、ハリエットは視線を目の前の対戦相手に向け直した。

 そして静かに深呼吸し、相手を威嚇するような意味や他意を含まない、明らかな気遣いを込めてこう口にした。

「安心していい。……すぐに終わる」

 

 

 

 ちょうどその頃、一人の青年がハリエットの後ろに陣取る野次馬の一団に気付いた所だった。頭髪は綺麗な栗色で、柔和な造りの整った目鼻だちをもった学者肌の好青年である。

「あれかな? またやってるのか」

 少しの苦笑いを浮かべて、青年は掛けていた眼鏡の位置を修正した後、本を片手にその一団に向かって歩き出した。

「(ハティは僕に見られるのを嫌うからなぁ。たまたま通りかかったって事にしておこうか)」

 そんな事を考えながら、その輪に加わった彼は、低くはない身長を活かして最後列から尋ね人を探した。輪の中心にいる事はわかっていたため、存外すぐに尋ね人を発見する事が出来た。

「(怪我だけはしないようにね……)」

 青年は優しげな視線をその輪の中心にいる銀髪の少女に向けてそう呟いた。

 彼女にばれないように、彼はその場から彼女を応援する事にした。


主人公達が出て来た場面は、はしゃぎすぎたと反省しています。

そして我ながら意味不明だと思います。

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