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世界が滅びかけているので、各国の王子が私の婚約者候補になりました  作者: SoL


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2/7

王子たちが集う日

「リュミエラ様、大変です!」


 朝から侍女が慌てて部屋へ飛び込んできた。

 私は本を閉じて顔を上げる。


「どうしたの?」


「各国の王子様が、今日この城へいらっしゃるそうです!」


 ……はい?



 私は思わず聞き返した。


「王子?」


「はい!獣人の国フェンリヴァル帝国、竜人の国ドラグニル王国、そしてエルフの国エルヴァリア聖森国の王子様が!」


 侍女は興奮気味に続ける。


「世界の魔力枯渇の問題について話し合うため、各国の王族がエルヴァリア聖森国へ集められるのだとか!」


 なるほど。


 最近、世界中で魔力が減っているという話は聞いていた。

 結界の維持が難しくなった国もあるらしい。

 でも――


「それと私に何の関係が?」


 そう聞くと、侍女は気まずそうに笑った。


「……王族の中で女性はリュミエラ様だけですから」


 嫌な予感がした。


「つまり?」


 侍女は小声で言った。


「求婚、されるかもしれません。」


 私は額を押さえた。

 各国の王子。

 求婚。

 嫌な予感しかしない。



 その時だった。




「久しぶりだな、リュミエラ」


 窓の外から声がした。

 振り向くと、そこには――



 赤い髪。茶色の瞳。狼の耳。

 そしてニヤリと笑う顔。


「ガルド・フェンリヴァル…」


 獣人の国フェンリヴァル帝国の王子で、私の幼なじみだ。同い年なのに、昔から弟のような存在。

 小さい頃は一緒にイタズラもした悪友だ。


「相変わらず窓から来るのね……」


 この狼は私の部屋を訪ねる時、一度も扉から入ってきた試しはない。


「扉から入ったら面白くないだろ」


 そう言って乱暴に窓枠から飛び降り、私の方へ近付いてきた。

 私の手を取り、自分の頭へと誘導する。

 撫でてと言わんばかりにゆっくりとしっぽを揺らしている。


 私はいつものように、彼のふわふわの耳を触る。

 それに反応して耳が跳ねている様子が、とても可愛い。



 暫く撫でていると、扉の方から声がした。



「相変わらず、君は礼儀がなってないね。それでも王族なのか?」


 声のする方へ振り向く。

 そこに立っていたのは――



 白い髪。金色の瞳。

 竜人の国ドラグニル王国の王子。


「レイヴァルト・ドラグニル……」


 彼もまた、私の幼なじみだ。

 私のひとつ上で、私達がイタズラしているのを横目に、いつも静かに本を読んでいた。



 そして勉強を教えてくれていたお兄ちゃんのような存在。

 まさかもう来ているなんて。

 そして――



 部屋の空気が変わった。

 外の木々がザワザワと揺れ始め、開いている窓から私を押すように風が通り抜けた。

 追い風に煽られながらも、髪を整えて前を向き直す。



 私の立っていたのは、白銀の長い髪を持つ、美しい青年だった。

 透き通るような青い瞳。そして何より、尖っている耳。

 エルフ。



「初めまして。人間の国アストレア王国の王女、リュミエラ」


 彼は優雅に一礼する。


「私はエルヴァリア聖森国、第一王子―― ルシェル・エルヴァリア」


 彼は静かに笑いかけると、微風が起こった。

 先程の追風など無かったかのように、向かい風が、柔らかく私を包み込んだ。

 その瞬間、なぜか胸が強く高鳴った。



 私はまだ知らない。

 この出会いが、世界の運命を変えることになるなんて。

 そして――



 私自身が、世界の秘密の中心にいることも。

 ――そして、世界樹と呼ばれる存在と深く繋がっていることも。

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