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ダンジョンサバイバルinゾンビワールド  作者: score


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第9話 ドロップアイテム


「上手くいったな」



 少し荒くなった息を整えつつ、俺はほっと胸を撫で下ろした。

 俺の目の前では、今まさに倒し終えた最後のゴブリンの死体が、消えていくところだった。


 俺のとった戦法は単純だ。


 とりあえず姿を見せてゴブリンをおびき出したあと、逃げ切らない程度に走って逃げる。

 そうすると通路の幅に合わせるように、奴らは自然と縦列になる。

 で、ある程度距離をとったら振り向いて、一番前のやつを強打で殴る。


 と同時に、また速のステータス頼りで走って逃げる。

 あとはこの繰り返しだ。


 奴らより俺の方が素早いから、ぎりぎり反撃を食らわずに成立させることができた。

 スタミナは相応に消耗したし、逃げている最中に他のゴブリンに出会わなかったのはただの幸運だが、一応マップを覚えて、自分がさっき掃討してきた道を選んだのだ。


 やはりマップ作成はダンジョン攻略に必要だった(確信)


 実際、冗談を抜きにしてもマップ作成はダンジョンで生き残るためには有用だ。

 俺の生存戦略は逃げ延びることを前提に考えている。

 それはピンチに陥っても誰も助けに来てくれない状況だと理解しているから。


 勝てない相手と遭遇し、闇雲に逃げて、行き止まりに追い詰められたら死ぬしかないのだ。

 そうならないためには、常にマップを頭の中に入れておいて、何かが起きたとき、どういうルートを辿るかを検討しておかなければならない。


 将来的には、ダンジョン内にいずれ現れるだろうギミックや罠を利用した攻略とかまで考えたいところだし、そうなってくると今よりももっと詳細な地図が必要になってくるだろう。


 現在のマップ作成は自分の歩数を基準にしているが、いずれ測量関係のスキルを取ったり、オートマッピングスキルを目指したりしたい。

 レベルアップとスキル習得に必要なポイントが一緒だというのは、こういう時悩みどころだと思う。


「まぁ、それはひとまず良いとして。問題はコレだな」


 戦闘の興奮が治まって来たところで、俺はゴブリンの死体があった場所に近づく。

 ゴブリンの死体は綺麗さっぱり消えているが、今回はそこに残っているものがあった。

 端的に言うと、ドロップアイテムだ。


「これは、ナイフか?」


 今まで、ゴブリンが持っていた錆びたナイフは、彼らがEPに変換されるときに一緒に粒子になって消えて居た。

 だが、今回は最後に倒したゴブリンから、ナイフが一つだけ落ちた。


「確か、端末はアイテムを納品しろ、みたいなこと言っていたよな」


 俺は、ナイフを拾い上げる。

 自分で使おうとは思わないほど、錆びてボロボロになったそれ。

 だが、持ち帰るとなると、抜き身のまま持っていくことになるだろう。

 ちょっと、いやだった。


「何か、布に包んで持って帰るか」


 リュックの中から、適当なタオルを一つ選ぶ。

 切ったりしないように気をつけながらナイフをぐるぐる巻きにして、リュックに仕舞い直した。


「二階層を一度覗いておくか?」


 その作業を終えた後、俺は自問する。

 現時点で、階段の前の門番はいなくなった。

 今なら、下の階層に降りることもできるだろう。


 純粋な好奇心と冒険心で、一つ下の階層を見て見たいという気持ちはある。

 あと、想定できるメリットとして、二階層に降りることで解放されるスキルなどもあるかもしれない。


 デメリットとしては、当然、今の俺が敵わないモンスターに出会う可能性があること。

 また、階段を降りたあと、戻ってこれるという保証が存在しないこと。


 一歩だけ、踏み込むだけで即戻ってこれるなら行ってみたいが……。


「いいや。戻ろう。無理はしないと決めたはずだ」


 俺は冒険者だが、ダンジョンが度々言うような挑戦者ではない。

 不測の事態に臨機応変に対応できるような人間でもない。

 ダンジョンは逃げないのだ。今日はもう遅い時間だし、戻ればレベルアップだってできる筈だ。


「そういえば、階層の入り口にも端末はあるって言ってたっけ……?」


 と、思ってから、最初にそういう説明を受けたことを思い出す。

 そこに端末があるなら、少し踏み込んで敵情視察をしてから必要なステータスを振るというのも可能だ。

 リスクもあるが、同時にメリットもでかい。


 再び、少し迷う。

 迷うが。


「いや、やはり戻ろう。誰も止めてくれる人は居ないんだ。俺が自分を止められなくてどうする」


 臆病なほどの慎重さを発揮し、俺は初めの答えを守ることにした。






『ゴブリンのナイフを納品しますか?』

「はい」

『かしこまりました』


 入り口までに、二回戦闘があった。

 掃討してきたつもりだが、見ていない通路からやってきたのか、あるいはリポップしたのか。

 四時間以上歩き回っているので、どちらの可能性も十分にある。


 今は入り口の端末に向かって、持ち帰って来たゴブリンのナイフを差し出しているところだ。

 俺が納品の意思を見せると、ナイフはこれまで見たEPと同じような粒子となり、端末に吸い込まれる。


『ゴブリンのナイフの納品を確認しました。一部スキルが解放されます。一部アイテムが解放されます。EPを20還元します』

「20!?」


 アイテムを納品したときもEPを貰えるという話は覚えていたが、驚きの還元率であった。

 あのちっぽけなナイフ一つで、ゴブリン10体分の経験値が得られるなんて。


「なんでアイテムにはそんなEPが」

『ドロップアイテムは、ダンジョンに存在するモンスターの様々な経験が、アイテムの形で残ったものになります。EPに分解できるEP結晶のようなものだとご理解ください。ドロップはランダムですが、より強いモンスターを倒すほど、ドロップ率は上昇する傾向にあります』

「あ、説明ありがとう」


 独り言を漏らしていたら端末の方から説明してもらえた。

 とりあえず、経験値上昇アイテムだと理解しておけば良いのだろう。

 これはきっと、パワーレベリングとかにも使えるものだ。


 今までの端末の応対や謎の声のセリフからして、ダンジョンは人間に潜ってもらいたがっている。

 人間を成長させたがっている。

 そのため、より多くの人間のレベルを引き上げられるように、色々な救済措置を用意しているのかもしれない。


「とりあえず、レベルアップを進めてみるか」


 今までのゴブリンからのEPが26、ナイフのEPが20。

 合計46が、俺の使えるEPになっている。

 まずはレベルアップだ。

 レベル3に必要なEPは20だったので、一つあげて余りは26である。


 ステ振りは、こうだ。


 ──────

 残りポイント:0


 力:8→9

 魔:10

 体:7

 速:11→13

 運:9

 ──────


 スピードを高める路線は継続しつつ、少しだけ力にも振る。

 二階層で敵のHPが増え、戦闘が長引くことを警戒しての振り方である。

 軸は逃走に置きつつも、少しくらいはね。


『ステータスの割り振りを確認しました。次のレベルに上がるために必要なEPは30です。レベルアップを終了します』


 次のレベルアップに必要なEPは30。今回も10上昇であった。

 やはり固定値で10なのだろうか?

 なんにせよ、ゴブリン狩りを続けている感じだと、この辺りから少しきついか。

 運良くドロップアイテムが出れば良いが、そうしないと何時間もウロウロしないといけない。


「まぁ、俺は明日もマップ埋めのためにウロウロするつもりだから良いんだけど」


 とりあえず明日は、二階層は一旦置いて一階層のマップ埋めを進める予定にした。

 それでEPを30溜めて、レベル4にあげてから2階層を目指すつもりだ。

 おそらく、ソロで潜る以上は、一つ前の階層でそれ以上は少しきついくらいまでレベルを上げるのが正解だと思う。

 誰も助けてくれない、という前提は忘れてはいけない。


「あとは、スキルだが。いらねえの増えてるなぁ」


 次にスキルの習得と思ったが、ゴブリンのナイフを納品したことで増えたスキルにろくなものがない。

 ざっと見た感じ『声真似ゴブリン』とか『ナイフゴブリン』とか気になるのはあるんだけど、『悪臭』スキルとか、誰が好き好んで取るんだ。

 いや、使い道はあるのかもしれないし、いつでも外せるから良いんだけど。

 これにEP1使う勇気がない。


 だが、ゴブリン関係以外で増えている超有用なパッシブスキルが一つ。


 ──────

 ストレージ(極小):20EP


 ストレージ空間を作成し、空間5つ分までアイテムを格納できる。

 作成可能なストレージ空間数、および格納可能なサイズは魔によって拡張される(最大二倍まで)。

 コストCP:30

 ──────


 ダンジョン物でお決まりの強スキルが生えていた。

 極小とはいえ20EPでアイテムストレージは破格がすぎる。

 リュックを一生懸命背負っていたのが評価されたのだろうか。

 コストはかなり重いが、レベルアップで最大値は増えているし、複数にエンカウントしなければ、強打で消費することもない。


「とりあえず、ストレージを取るのは確定として、残り6EP」


 一旦、解禁されたというアイテムを覗いてみる。が、ゴブリンの錆びたナイフ(装備品)とかが増えているだけで、そっと閉じた。

 というわけで、やっぱりEPの使い道はスキルの方になるだろう。

 前から取りたかった聞き耳も良いが、アクティブスキルにも欲しいのが増えている。


 ──────

 目星:5EP


 視界に映る範囲で違和感を探す。また探し物が見つかりやすくなる。

 消費CP:2

 ──────


 絶対に強いじゃん。

 知ってるよ俺。これ持ってない奴は人権ないって。


 もちろん、消費CPが必要なアクティブスキルだから所構わず乱射はできないけど、絶対斥候に必要なスキルだよ。

 気配察知とかもパッシブで生えているから欲しいし、測量スキルも欲しいんだけど、やっぱりこれが一番魅力的に見える。


 というわけで取った。

 これで残りのEPは1だ。


「あとEP1で取れるものは……」


 端末くんの前で呟くと丁寧に端末はその条件でソートしてくれる。

 そして映し出されるのは『悪臭』の二文字。


「…………」






 すごく迷ったけど取った。

 装備はしなかった。



 これでステータスはこんな感じ


 ──────

 上杉 志摩

 ノービス(無職)

 レベル3

 所持EP:0


 HP:32/53

 CP:12/12(使用中37/49)


 力:9

 魔:10

 体:7

 速:13

 運:9


【所持スキル】

 [パッシブスキル]

 悪臭


 [アクティブスキル]

 なし


【セットスキル】

 [パッシブスキル]

 不意打ち 集中力 ストレージ(極小)


 [アクティブスキル]

 強打 目星

 ──────



 やっぱり悪臭は早まったかもしれない。



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