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冬の童話祭2025

パジャマにきがえたあとで

作者: 六福亭
掲載日:2025/01/07


 パジャマにきがえたあとだって、おとなしく寝てなんかいられません。


 えりかは、せっかくしいてもらったお布団の上で、ぴょんぴょんと飛びはねたり、ごろごろと転がってみたり、やりたい放題です。お母さんに叱られてからは、あわててかけ布団の中にもぐりこみましたが、ちっともねむたくはならず、外に飛び出すチャンスをじっと狙っていました。


 お父さんがえりかのお布団に近づいてくると、えりかは寝たふりをしました。足音が遠ざかると、ぱっと起き上がります。けれど、お父さんも心得たもので、はっとえりかを振り返り、また戻ってくるのです。それで、えりかはまたお布団の中に戻るしかありませんでした。


 暗いけれどあったかいお布団の中にいると、まるで広い広い宇宙の中にいるみたいに、体がどんどん縮んでいく気がしました。縮んで縮んで、豆粒くらいの大きさになったような気になった時、どこからともなくおじいさんの声が聞こえてきました。

『えりか、えりかよ。宇宙で冒険したくはないか?』

 えりかは嬉しくなって、さけびました。

「冒険したい!」

『よかろう。そら、目を開けてみよ』

 えりかがぱっと目を開けると、辺りには虹色の星がぱちぱちとかがやいています。そして、えりかは、星の中に浮かぶふわふわの雲にのっているのでした。虹色の星は、えりかがちょっと手を伸ばせば、かんたんにつかむことができるのです。


 つかんだ星は、えりかの手をくすぐってきました。えりかは星をつかまえたり放り投げたり、雲の上からダイブして、別の雲に飛び移ったり、実に楽しく過ごしました。


 ところが、遠くの方から、へんてこな声が聞こえてきます。えりかは、遊ぶのをやめて、耳をすましました。


 だんだん近づいてくるのは、三つ叉の槍をもった、真っ黒な悪魔たちでした。槍を振って、えりかに向かって飛んでくるのです。


 それを見てえりかは、今日歯みがきをした後に、こっそりチョコレートをつまみ食いしたことを思い出しました。



 えりかはあわてて、ふわふわただよう雲から飛び降りて、両手をぱたぱたと動かして空を飛びました。羽のように動かした両手から風が起こって、虫歯の悪魔たちが吹き飛ばされていきます。えりかはほっとしましたが、下を見ると、ぽっかりと何もない宇宙が広がっています。怖くなった瞬間、えりかはつい羽ばたくのをやめてしまいました。


 さあ大変。えりかは、まっさかさまに落っこちていきます。

「わあああーーー……」

 大きなさけび声を上げながら落ちていって、最後に どん! とぶつかったと思ったら、えりかはお布団の上に起き上がっていました。


 そこは、いつもと何も変わらないお家です。えりかはまだどきどきしながらお布団から出て、歯をみがきに行きました。


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― 新着の感想 ―
プチ冒険でしたね。戻ってこられたと思った時は相当ドキドキしていたのかな╰(*´︶`*)╯♡
2025/01/17 19:37 退会済み
管理
宇宙を飛ぶのはワクワクする反面急に怖くなって飛べなくなったえりかちゃんに共感するほど勇気がいることだと思います。 雲に乗っている時は楽しいけれど、自分で宇宙を飛ぶのは怖くなりますよね~。 お布団の中で…
とっても可愛くて、思わずニコニコしてしまいました。 お布団で遊ぶのって楽しかったよなあ、とか、ねむったふりをしたり、もうだいじょうぶかな? と思ったら、親が戻ってきたりとか、そんなやりとりがまず、もう…
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