パジャマにきがえたあとで
パジャマにきがえたあとだって、おとなしく寝てなんかいられません。
えりかは、せっかくしいてもらったお布団の上で、ぴょんぴょんと飛びはねたり、ごろごろと転がってみたり、やりたい放題です。お母さんに叱られてからは、あわててかけ布団の中にもぐりこみましたが、ちっともねむたくはならず、外に飛び出すチャンスをじっと狙っていました。
お父さんがえりかのお布団に近づいてくると、えりかは寝たふりをしました。足音が遠ざかると、ぱっと起き上がります。けれど、お父さんも心得たもので、はっとえりかを振り返り、また戻ってくるのです。それで、えりかはまたお布団の中に戻るしかありませんでした。
暗いけれどあったかいお布団の中にいると、まるで広い広い宇宙の中にいるみたいに、体がどんどん縮んでいく気がしました。縮んで縮んで、豆粒くらいの大きさになったような気になった時、どこからともなくおじいさんの声が聞こえてきました。
『えりか、えりかよ。宇宙で冒険したくはないか?』
えりかは嬉しくなって、さけびました。
「冒険したい!」
『よかろう。そら、目を開けてみよ』
えりかがぱっと目を開けると、辺りには虹色の星がぱちぱちとかがやいています。そして、えりかは、星の中に浮かぶふわふわの雲にのっているのでした。虹色の星は、えりかがちょっと手を伸ばせば、かんたんにつかむことができるのです。
つかんだ星は、えりかの手をくすぐってきました。えりかは星をつかまえたり放り投げたり、雲の上からダイブして、別の雲に飛び移ったり、実に楽しく過ごしました。
ところが、遠くの方から、へんてこな声が聞こえてきます。えりかは、遊ぶのをやめて、耳をすましました。
だんだん近づいてくるのは、三つ叉の槍をもった、真っ黒な悪魔たちでした。槍を振って、えりかに向かって飛んでくるのです。
それを見てえりかは、今日歯みがきをした後に、こっそりチョコレートをつまみ食いしたことを思い出しました。
えりかはあわてて、ふわふわただよう雲から飛び降りて、両手をぱたぱたと動かして空を飛びました。羽のように動かした両手から風が起こって、虫歯の悪魔たちが吹き飛ばされていきます。えりかはほっとしましたが、下を見ると、ぽっかりと何もない宇宙が広がっています。怖くなった瞬間、えりかはつい羽ばたくのをやめてしまいました。
さあ大変。えりかは、まっさかさまに落っこちていきます。
「わあああーーー……」
大きなさけび声を上げながら落ちていって、最後に どん! とぶつかったと思ったら、えりかはお布団の上に起き上がっていました。
そこは、いつもと何も変わらないお家です。えりかはまだどきどきしながらお布団から出て、歯をみがきに行きました。




