無骨な冒険者
私は森で一夜を明かし、翌日になってスライムの姿で街に再び入り、冒険者ギルドへ赴いた。
早朝なので、大通りもすいていた。
少女の容姿に変身している。
薬草を採取している間に薬草を何十枚か飲み込んだので、回復薬を生み出すことが出来るようになった。
いつか必要となるかもしれぬ。
容器を買わねばならん。
冒険者ギルドに脚を踏み入れ、受付カウンターに歩み寄った。
受付嬢が挨拶をしてきた。
「おはようございます。本日は——」
「依頼が終わった」
私は依頼の薬草の束を3つと依頼書、冒険者証を提示した。
「……依頼の通りの薬草です。はい、報酬の銀貨6枚と銅貨5枚です。またのお越しをお待ちしております」
トレーに銀貨6枚と銅貨5枚が載っていた。
報酬を受け取り、依頼書が張り出されているボードに移動して、依頼を探していく。
その途中に背後から声を掛けられた。
昨日、声を掛けられた男性冒険者だった。
「おい、スヴィエトロ!今日も依頼か?張り切ってるな、そんな冒険者稼業に意欲的でどうしたよ?」
挨拶も無しに用件を言ってくる男性冒険者だった。
「だから生活が苦しいんですって!言ったばかりでしょ?」
「そうカッカすんなよ。スヴィエトロ、昨日から俺の名前を呼ばねぇが忘れたとは言わねぇよな?」
「そんなことないですって〜!あははは、はははっ!」
「笑って誤魔化すんじゃねぇ!俺の名前を呼んでみろ!」
「……」
「……おまえ、スヴィエトロじゃねぇだろ?誰にも言わねぇから正体ぃ明かせよ!」
「……スヴィエトロだよ、私は。昨日、盗賊が暴れてたろ?それに巻き込まれて頭を打ったんだ。あんたのこと忘れたんだ、それで」
「盗賊ぅ〜?あぁーそういやあったな。そりゃ災難だったな。悪りぃ悪りぃ、変な疑いをかけてよぉ。名前を覚えてないと困るだろうから教えてやる。俺はグロブスだ。今日から仲良くやろうや」
グロブスと名乗った男性冒険者は後頭部を掻いていた手を伸ばし、差し出してきた。
握手くらいいいか。
握手を交わした私だった。
「グロブス、どんな依頼を受注したら良い?」
下手に丁寧な言葉遣いじゃまた疑われそうな気がした。
「あぁ?そうだな、初心者つったら——」
私はグロブスに促された通りに依頼を受注した。
今のところ、グロブスくらいしかスヴィエトロという少女は接点はない。
懸念はまだあるが、今のところグロブスに注意していたらいい。
グロブスに長剣を借りて、魔物討伐に森へと向かった。
魔物が魔物を狩るとはなんということだ。




