第94話 新たな依頼
翌日、私は牧場に戻っていた。
目の前の此度の戦利品が置かれてある。
並べてみると統一感はないが、なかなか豪華な感じになった。
いずれも高価で、値段が付けられないものもあるらしい。
(仲間に配って戦力を上げるか)
そんなことを考えながら精霊刀を回す。
金稼ぎも悪くないが、戦力増強の方が性に合う。
後で集合して相談してみようか。
少し向こうでは、手入れの終わった竜が食事をとっていた。
寄ってたかって貪り食っているのは血生臭い肉だ。
肉からは濃密な瘴気が絶えず漂っているが、竜達は気にせず美味そうに食らっている。
竜の耐性は非常に高く、それくらいの毒はむしろ栄養にできるらしい。
竜が食べているのは、深淵魔女ヴェラと赤祟りの魔獣ベイズの肉だった。
昨日のうちに瘴気の森で殺害し、死体を丸ごと持ち帰ったのである。
咀嚼する竜の反応を見るに、なかなか好評で何よりだ。
深淵魔女と魔獣の殺害には半日ほどかかった。
別に連中が強かったわけではない。
逃げた深淵魔女を追うのにやたらと時間がかかったのだ。
戦闘自体は大したことはなく、普通に力押しで攻め切ることができた。
正直、期待外れだったのは否めない。
(全力で逃げる奴を捕まえる手段……結界術とか欲しくなるな)
結界術の使い手か、結界効果のある魔道具を探すしかない。
或いは再生魔術や精霊刀を応用して、上手いこと疑似結界でも作ってみるか。
色々と策を練っていると、ノルフがやってきた。
ノルフはいつもの微笑で話しかけてくる。
「伯爵への報告が完了しました。喜んでおられましたよ」
「へえ、そうか。報酬はどうなった?」
「伯爵家の宝物を十点と、瘴気の森の所有権をいただきました」
ノルフから地図を渡される。
地図上の瘴気の森を囲むように印が付けられていた。
かなり広大だが、全域が瘴気に満ちているので人間の踏み込める領域ではない。
私は地図を返しながら文句を言う。
「こんな危険地帯いらねえだろ。報酬って建前で押し付けられたな」
「いえいえ、瘴気の森には様々な用途があります。稀少資源も豊富に眠っておりますし、深淵魔女の魔術工房もございます。保有しているだけで絶大な力を有していると評しても過言ではありません」
「ほう。逆にそんな土地を貰ってよかったのか」
「リアさんの功績を考えれば当然かと思いますよ。伯爵もそれだけ信頼しているのかと。追加の依頼も受け取ってきましたよ」
ノルフが今度は封書を手渡してきた。
私は「またかよ」とぼやきながら中身を確認する。
内容を読んだ私は笑みを深める。
気になったのか、ノルフが尋ねてきた。
「次は何の依頼ですか?」
「今すぐ王城に来いってさ」
私は封書を捨てて腰を上げた。




