第49話 強襲に近い急行
その日からさっそくイメ村の復興が始まった。
同時に村人による竜の飼育補助も行われる。
今のところ特に問題はなさそうだった。
時間をかかるだろうが、いずれ村は元通りになるだろう。
いや、竜の牧場もあるのだから、以前よりも裕福になるかもしれない。
飼育時に剥がれ落ちた鱗を売れば、かなりの高額になると発覚したのである。
村と牧場で折半しても十分な稼ぎになるらしい。
(とりあえず上手くいきそうだな)
途中経過に満足していると、ノルフが手紙を持ってきた。
差出人の部分にはアルゥデグ伯爵と書いてある。
「誰だこいつ」
「イメ村の所有者であり、牧場を売りに出していた張本人ですね」
「伯爵ってことは貴族だな。良い奴なのか?」
「ええ、おそらく。少なくとも悪政を働いたという記録はございません。秘密裏に行っている場合は分かりませんが」
「なるほど……」
手紙を読むと、私を屋敷に招待するという内容だった。
牧場を買い取り、イメ村を改善してくれた礼をしたいのだという。
私は手紙を読みながら眉間に皺を寄せる。
「なんか怪しいな。私を陥れるための罠か?」
「アルゥデグ伯爵がそのようなことをするとは思えませんが、別の意図はあるでしょうな」
「たとえば?」
「リアさんの人柄を見定めたいのかもしれません」
「別に私は普通だろ。何を見定めるんだ」
「……そこは意見を控えさせていただきます」
言葉に詰まったノルフが顔を背ける。
すると、近くで話を聞いていたシェリーが飛んできた。
シェリーは目を見開いて力強く主張する。
「お姉様は完全無欠の素晴らしい貴族ですわ! 見定める必要などありません!」
「じゃあ伯爵の誘いを断るべきか?」
「いいえ! こうなったらお姉様の威光を知らしめなければなりません! すぐにアルゥデグ伯爵の屋敷へ向かいましょうッ!」
急かすシェリーに半ば連行される形で、私とノルフは竜に乗せられた。
竜はそのまま飛び立ち、猛速で伯爵の屋敷の方角へと突き進む。
操縦するのはシェリーだ。
飼育の過程で操り方を学んだらしく、一切の無駄なく竜に指示を出している。
振り落とされないように掴まりつつ、私はノルフに尋ねる。
「手紙を出さずに直行するって大丈夫なのか?」
「無礼……で済めばいいでしょうな。戦争を仕掛けたと勘違いされても文句は言えません」
「だよなぁ……」
それから半日とかからずに、私達は伯爵の屋敷に到着した。
案の定、竜の到来で大騒ぎになったが、ノルフがなんとか場を収めてくれた。
彼の状況説明が少しでも遅ければ、殺し合いになっていたと思う。
私が言うのもおかしいが、シェリーにはもっと平和的な行動を心がけてほしいものである。




