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殺戮令嬢リア・エルスワーズの華麗なる侵略史  作者: 結城 からく


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第37話 竜の倒し方

 滞空する竜は咆哮を轟かせる。

 衝撃波にも等しいそれを正面から浴びながらも、バジルの平常心が崩れることはなかった。

 彼は穏やかな口調で語る。


「竜が持つ最も強力な攻撃はブレスです。体内の魔力を瞬時に圧縮し、口から解き放つ……当たれば即死は免れやせん」


 その間に竜がブレスを吐こうとしていた。

 とてつもない魔力が集まっているのが伝わってくる。

 身体強化を発動したバジルがゆっくりと身構えた。


「倒し方その一。ブレスは妨害しやしょう」


 次の瞬間、バジルが疾走した。

 重力魔術で自らを軽量化したバジルは凄まじい速度で跳ぶと、片手で竜の顎に触れる。


 すると竜がいきなり頭上を見上げてブレスを放った。

 雲に穴が開いたが、地上には何の被害もなかった。


 それを見たノルフが感心する。


「頭部の重力を反転させることで浮かべて、ブレスの狙いをずらしたようですね。上手いやり方です」


「私との決闘でもやればよかったのにな」


「浮かせるだけでは破壊力が皆無ですからね。再生魔術を持つリアさんが相手だと、重力で押し潰す方が有効ですね」


「なるほど」


 ブレスを凌いだバジルは、いつの間にか竜の背中に掴まっていた。

 竜は滅茶苦茶に飛んで振り落とそうとしているが、バジルはぴったりと張り付いて離れない。

 たぶん重力魔術で密着しているのだろう。

 攻撃だけでなく補助としての使い勝手も良さそうだ。


 バジルは竜の背中から説明を続ける。


「倒し方その二。翼を攻撃して機動力を奪いやしょう」


 その直後、竜がいきなり落下して地面に激突した。

 翼が地面にめり込んで動かせなくなっている。

 バジルが重力を増幅させて飛行を封じたらしい。

 竜は苦しそうに呻くが、もがくばかりで反撃できていない。

 動きの鈍い尻尾や爪でバジルを狙うも、器用に躱されていた。


「倒し方その三。竜は全身が凶器です。攻撃より回避を優先しやしょう」


 バジルが竜の各所に触れて重力を付与していく。

 最終的には全身が地面に深くめり込んで竜は肉片になって潰れてしまった。

 手を叩いて死骸から離れたバジルは、まったく消耗していない様子で戻ってくる。


「さて、こんなもんでしょう。参考になりやしたかね」


「ぼちぼちだな。まあ悪くなかったよ」


「そいつは何よりで」


 会話の途中、急にバジルが険しい表情になる。

 森から無数の竜が飛んでくる。

 竜に手綱を着けて操るのは、雄叫びを上げる人間達だった。


 あれが標的の盗賊団だろう。

 わざわざ迎えに来てくれたようだ。

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