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殺戮令嬢リア・エルスワーズの華麗なる侵略史  作者: 結城 からく


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第24話 調伏

 そこから私は戦い方を変えた。

 試し斬りではなく、わざと鉈が壊れるように意識して使う。

 こうなったら徹底的に躾けてやらないと気が済まない。

 武器が使い手に歯向かうなんて駄目だ。


 このまま乱暴に扱われて粉々に砕け散るか、それとも私に服従を示すか。

 生意気な鉈に二択を提示しようと思う。


 男達を切りつけるたびに鉈が端から破損する。

 刃が欠けて短くなり、亀裂がどんどん広がっていった。

 柄のぐらつきも悪化して、もはや武器として使い勝手は無いも同然だった。

 それでも私は構わず鉈を振るい続ける。


「ほら、さっさと降参しないとぶっ壊れちまうぞ」


 意味があるか分からないが、戦いながら鉈を脅迫しておく。

 もし何らかの意思が宿っていれば、乱暴に使い潰されるのは本望ではないはずだ。

 こっちが優しくしたところで大人しくなるわけではなさそうなので、思い切って躾けなければならない。


 鉈の具合を確かめながら戦ううちに、気が付くと残りの敵が白髪の男だけになってしまった。

 他は路地に転がる死体となっている。

 やっぱり大した実力はなかったので印象が薄い。

 私は白髪の男に問いかける。


「逃げないのか?」


「部下は見捨てられない」


「もう死んでるだろ」


「ならば俺も後を追うだけだ」


 白髪の男が高速で突っ込んできた。

 そこから剣の猛撃を容赦なく浴びせてくる。

 防御に使うたびに鉈が削れていった。

 もう元の半分ほどの長さまで縮んでしまった。

 刃が短くなり、受け損なった攻撃が私の身体に命中し始める。


(そろそろ潮時だな。こうなったらとどめを刺すか)


 私は鉈に魔力で流し込んでいく。

 なんとなく魔力を拒む感覚が伝わってくるも、無理やり注いで強化した。

 そうして限界まで強化すると、鉈が発光した。

 刃が振動し、甲高い音を鳴らし出す。


(——よし、今だ)


 私は掲げた鉈を全力で振り下ろした。

 その斬撃は男の剣を粉砕し、そのまま片腕を切り落とす。

 男は険しい顔で呻いた。


「ぐっ」


 男が蹴りを放ってきたので、顔面を殴って意識を奪う。

 起き上がる気配がないことを確かめてから、私は鉈に注目する。


 鉈は新品のように修復されていた。

 武具屋で買った時とも比較にならない完璧な状態だ。

 鉈の内部を私の魔力が循環している。

 どうやら流し込んだ魔力を利用し、自動で修復したらしい。

 まるで再生魔術のようである。


 私は地面に鉈をぶつける。

 何度か打ち付けるうちに刃が割れたが、じわじわと修復された。


「へえ、便利じゃん」


 頑固な鉈も、私の横暴ぶりに心が折れたようだ。

 結果的に手入れ不要な武器が手に入ったと考えれば、実に有意義な実験だった。

 満足した私は鉈を腰に吊るした。


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