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【完結】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十四章

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最後の戦い2

「あなたは……裏切りを選んだんですね?」


 どちらを選んだのか。

 こんなところいる以上、答えは明白だった。


「断れるはずがないだろう。誘いに応じれば妻と子は新たな世界で生きられる」


「……本当にそうなると思うんですか?」


 新たな世界などというけれど、これまでのゲートや塔での状況を見る限りはゲームの一部として終わらぬ生活を繰り返すだけになる。

 とてもじゃないが、ゲームに興じる異世界の神が約束を守るとは思えない。


「仮にそうだとしても……断れば俺は力を失い死ぬのだ。選択肢などないのだ」


 相手が約束を守る確証がないことは北条も分かっている。

 だが今の北条は神に届く才能の持ち主を殺して力を奪って生き延びている。


 誘いに応じないとすれば力を返すことになるかもしれない。

 仮に力を奪われないとしても、神に届く才能の持ち主は神から教えてもらっていた。


 教えてもらえなくなると、北条の力は弱っていき、最終的には死に至る。

 ここにきて誘いを断れば、必死に生きようとしてきたこれまでを否定して死ぬことになってしまう。


『争え!

 北条勝利を倒せ!』


 圭たちの目の前に表示が現れる。


「チッ……とことん悪趣味だな」


 圭は思わず舌打ちしてしまう。

 ここにきて戦う相手が異世界のモンスターでも何でもなく、この世界の人である。


 しかも顔見知りで、これまで世界を支えてきた英雄的な人でもある。

 たとえ卑怯な方法で力を得ていたとしても、その力は確かに世界を守るために使われていた。


 世界最高峰の力を持つ覚醒者を倒さねばならない。

 とんでもなく趣味の悪い戦いを強制されている。


 そして気づいた。

 空に見えている目はただの悪趣味なデザインではなく、実際の目なのだと。


 ゲームを楽しむ神々が見ている。

 圭たちと北条が争う様を今か今かと待ち侘びている観客が目として現れているのだ。


「お前たちが塔に入っている間も外ではゲームが進んでいる。イギリスは現れたドラゴンによって半分が壊滅した。アメリカも急激に出現するゲートに対応が追いつかなくなってきている。もはや……この世界の滅びは避けられないのだ」


 十八階が攻略されそうになったことで、ゲームに参加する神々は焦った。

 塔の中にいた圭たちは知る由もないが、今の世界はかなり混沌としていた。


 まるでゲートと塔が現れた初期の頃のように、高難度のゲートが急激に現れ始めていた。


「このゲームを終わらせよう。俺は家族と共に新たな世界に行く……この世界はすでに終わったのだ」


 北条の体から魔力が溢れ出す。

 その目には戦いの決意が見て取れる。


「まだ終わっていない……! なんで……何でこれまで救ってきた世界をこんなに簡単に捨てられるんだ!」


 北条の気持ちは圭にはわからなかった。

 たとえ自分が助かると言われても、圭はこの世界を捨てることなどあり得ない。


 愛する人たちがいるこの世界は、たとえ自分が死ぬことになったとしても見捨てることなんてできないのだ。

 あるいはゲームだと知りながらゲートを攻略してきたからかもしれない。


 残された世界の人たちがどんな思いをして、どんな思いで生きているのかを知っている。

 自分さえ助かればそれでいいなんて、口が裂けても言えない。


「このゲームを終わらせることには賛成だ! だけど……それはあんたの想像する終わりとは違うものだ」


 北条とは考え方が根本的に違うと圭は感じた。

 今こうしている間にも塔の外で戦いが続いているのだとしたら、ここで長々と話してもいられない。


『北条勝利

 レベル1219

 総合ランクA

 エラー

 エラー

 エラー

 エラー

 エラー

 エラー

 エラー』


「総合ランク……A」


 圭は真実の目で北条勝利のことを見てみた。

 相変わらず能力を見ることができない。


 しかし北条の総合ランクはA級となっている。

 いまだに、総合ランクがAだと覚醒者等級でどうなるのか分かっていない。


 それにレベルの値も異常である。

 だが確実に言えるのは、圭たちよりも強いということだ。


「行くぞ」


 北条の姿が消えた。


「……くっ!」


 ほとんど反射的に体が動いた。

 消えたと思った瞬間に北条が圭の目の前に現れて拳を突き出した。


 頭を逸らさなかったらそのまま潰されていたかもしれない。

 かすめた拳で圭の頬が切れ、拳圧で風が巻き起こる。


「グッ……」


 一撃で北条の攻撃は終わらない。

 続くボディーブローをまともに受けて、圭はくの字になってぶっ飛んでいく。


「俺が与えられた力は神の才能を消費して肉体を極限まで強化する力。圧倒的な力の前にはどんなスキルだろうと魔法だろうと意味を成しはしない」


 非常に燃費の悪いエンジン。

 北条は自分の力をそう考えていた。


 神の才能が何なのか分からないが、人の力を奪い取ってそれを燃やして力を生み出す。

 だが一人程度の力ではあまり長いこと持たない。


 他人の力を燃やして力を得る能力なので強力なエンジンのようであるが、すぐに燃え尽きてしまうので燃費はとても悪いのだ。

 だがここで出し惜しみをすることはない。


 圭たちさえ倒せば世界の滅亡を止めることなどできず、北条の目的は達せられるからだ。

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