古代遺跡2
「そろそろ三時間か」
こういう時にも便利なのが亜空間の収納袋である。
普通なら持ってこないようなものまで手が空くので持ってこられる。
甘いものも当然持ってこられる。
ゴーレムが洞窟から出てくることも警戒しつつ、割と優雅に甘いものでも食べながら時間を潰した。
結局ゴーレムが古代遺跡から出てくるようなことはなく、穏やかに待機の時間は過ぎていったのだった。
「そろそろ行こうか」
あまり気は進まないけれど、人助けのためだから仕方ない。
「扉は開きっぱなしのようだな」
洞窟の中を進む。
途中にある圭の魔力を吸い取って開いた石の扉は開いたままである。
『モンスターを倒せ! クリア!
ガルドン クリア
メユナゴオド クリア
…………
フルエスト クリア
ウムヘンクーバ クリア
シークレット
古代遺跡の遺物を取り戻せ』
一応扉の前で試練の確認してみる。
特に変化はなく、先行のギルドがクリアしたということもなさそうだ。
扉を通り抜けていくと、地下とは思えないような都市光景が広がっていた。
天井は明るく光っていて、かなり綺麗に作られた石の建物が並んでいる。
文明を感じさせるようなかなり不思議な光景である。
だが一方で古代遺跡なんて呼称されるような古さもあまり感じられない。
「向かうなら……あそこかねぇ?」
見た感じでは古代遺跡の都市はかなりの広さがある。
適当に散策して人を探すのはかなり厳しいだろう。
どこか向かうべき目印が必要となる。
町の中心付近には何か大きな建物のようなものがある。
大体周りとは違うものには何かがあるもので、圭たちはそこに向かってみることにした。
「波瑠、どうだー?」
「うーん、今の所なんもなーし!」
古代遺跡の都市に入っていく。
町の建物は二階、三階はありそうなぐらいに高く、波瑠は翼を生やして上から警戒してくれていた。
「建物は入れないようになってるんだな」
入り口や窓っぽいものはあるが、木を打ちつけてあったり崩れていたりしている中に入れないようになっている。
壊して中に入ることはできるのかもしれないが、こうしたものは入るなという塔からの意思表示だろう。
入っても何もない可能性が高い上に、建物の中までいちいち確認して回るのは時間がかかる。
今回はパッと見て入れなさそうな建物はスルーすることにして、捜索しなければならない範囲を狭めておく。
「なんというか……寂しい雰囲気ですね」
町の形をしているのに人の気配が一切ない。
家の中の様子は分からないが、建物の外壁そのものは綺麗だ。
馬車の荷台や、なぜなのか鍋や皿が転がっていたりと微妙な生活感も感じられる。
それなのに人がいるような気配がないから寂しさを覚えてしまう。
「おっ、ゴーレムが倒れてるな」
道の真ん中にバラバラになったゴーレムが放置してあった。
おそらく先に入った欧州連盟の覚醒者によって倒されたのだろう。
「ふっ、確かにこれなら楽だな」
先に行った人たちがモンスターを倒してくれている。
戦わずに進んでいけるのは楽であるとダンテは笑っていた。
「なんもいないな。全部倒されちゃっ……ひゃあ!?」
「波瑠、どうした!」
建物の上から顔を覗かせると目の前にゴーレムがいて、波瑠は思わず悲鳴を上げてしまった。
「て、敵だよ!」
慌てて波瑠は建物から飛び降りる。
「でっかいフィーネみたいだねぇ」
「ピピ……フィーネの方が可愛い」
ヌッと建物上の壁に張り付くようにして角から姿を現したのは、丸いボディーに四つ足のついたゴーレムであった。
目のところが動いて圭たちのことを捉える。
「〜〜〜〜」
「……なんかヤバそうだな」
圭たちには分からない言語で丸ゴーレムが何かを言った。
「来るぞ!」
丸ゴーレムの体の何ヶ所かがガシャンと開いて銃口のようなものが出てきた。
銃口に魔力が集まり、圭は嫌な予感を覚えた。
「こっちだよ!」
カレンが盾を構えながら魔力を差し向けて挑発する。
すると銃口が一斉にカレンの方に向けられる。
「カレンさん、強化します!」
薫が杖をカレンの方に向けて能力を強化する。
「うおっ!?」
銃口からビームのようなものが放たれた。
カレンはみんなの位置を確認しながら盾をやや斜めにするようにビームを受け止め、誰もいない方向に受け流す。
ビームを受けた盾は一瞬で熱を持って熱くなってしまった。
受け流されたビームが直撃した建物は大きく崩れ、まともに直撃したら危険な威力なことを知らしめていた。
「えーい!」
高いところにいるのでこのままでは戦えない。
ビームを打ち終わった隙を狙って、波瑠が丸ゴーレムがひっついている壁を切って壊す。
「はっ!」
落ちてくる丸ゴーレムをダンテが狙う。
「くっ!」
落ちながらも丸ゴーレムがダンテに銃口を向けてビームを放つ。
ダンテは体をねじってビームを回避しながら距離を詰めて剣を振り下ろす。
丸ゴーレムの体に大きな傷跡がつくものの、それでは大きな致命傷にならない。
地面に落ちた丸ゴーレムは素早く立ち上がると、ビームを連射する。
「凍りつけ!」
前に出たカレンやダンテがビームを引きつける中で夜滝が魔法を使う。
丸ゴーレムの足元が凍りついていく。




