再び三つ巴の戦い6
「‘あ、あれはなんだ……’」
片岡が一人離れていく中で、戦っていた他の人たちも異様な魔力を放ち、膨れていく鍵に気づいて戦いを止める。
戦いを続けているのはエルーガとシャリン、フィーネぐらいである。
ボコボコと鍵は大きくなっていき、気づけば肉で作られた扉のような形に膨れ上がった。
奇妙な形の扉は嫌でも周りの目を引いてしまう。
『ゲヘナゲート
ゲヘナへの出入り口。
大量の死と血によって開かれた。
開かれている時間は死と血の量による』
「ヤバいぞ……」
肉の扉を真実の目で見た圭は顔を青くする。
片岡が取り出した鍵はゲヘナと繋がるゲートの鍵だったのだ。
なぜわざわざエルボザールファミリーを正面から迎え撃ったのか疑問はあった。
ゲヘナゲートを見て圭は理由を察した。
ゲートを開くためには大量の死と血が必要だと書いてあった。
覚醒者たちの戦いによる死と血を利用しようとしていたのだ。
「あれなんだよ?」
「魔界の扉が開く……」
肉の扉が開いていく。
より一層濃い不穏な魔力が扉から溢れ出して、圭も全身に鳥肌が立つ。
「伊丹さん!」
「村雨さん? 何があったのですか?」
離れた伊丹も不穏な気配を感じていた。
戦い全体としては覚醒者協会が優位に進めていたのに、何が起きたのか分からず胸が不安でざわついている。
「魔界の扉が開きました。全体に撤退の命令を出してください!」
「魔界の扉……? 何が起きてるんですか?」
「いいから早く! 早くしないと犠牲者が……」
魔王ベルゼブブや魔界へ行った時のことを圭は思い出す。
悪魔たちがなんの制限もなく地上に出てきたらとんでもないことになってしまう。
だが扉が現れた以上は止める手段も圭は知らない。
真実の目によると扉は時間によって閉まるようだから、何よりも早くここを逃げなければいけない。
「……何も出てこない?」
扉が開き切った。
しかし、紫を中心にしたマーブルカラーが広がる扉の向こうから何かが出てくる気配はない。
「……見た目だけか?」
「いや、そんなはずはない」
ただ変な扉が出現するだけなはずはない。
真実の目でもゲヘナ、つまりは魔界に繋がっているはずなのである。
「でもなんも……」
魔界の扉から手が出てきた。
鎧のようなものを身につけた手は扉の縁を掴んだ。
「あれが悪魔なのか?」
ゆっくりと姿を現したのは、鎧を身につけたような悪魔であった。
肌がビリビリするような強い魔力を放っていて、圭もカレンも冷や汗が噴き出して止まらなかった。
『閲覧制限』
圭は悪魔の情報を見ようとした。
しかし赤い文字で閲覧制限と出て何も見ることができない。
「うっ……!」
急に痛みが走って圭は手で目を覆う。
鎧の悪魔はすでに戦ったように体に赤や紫の液体が付着している。
何かは分からないが、とんでもなくヤバいやつだと言うことは分かる。
手に巨大な剣を持った鎧の悪魔はゆっくりと周りを見回していく。
一瞬圭のことを見た。
けれども鎧の悪魔は圭には興味がないようだ。
「……見つけた」
鎧の悪魔はゆっくりと動き出した。




