挑めるまでになりました4
「すごかったよ。すごかったけど……せめて事前にやるって言ってほしかったかな?」
『ふぁい……』
キューちゃんはしょんぼりとしている。
前もって言ってくれれば剣を収めて、両手でしがみつくぐらいはできた。
不安定な体勢、片手で毛を掴んでしがみつき、キューちゃんがどう動くのかも分からない。
よく途中で振り下ろされなかったものだと圭も自分で感心してしまう。
「なかなか刺激的だったからやるなとは言わないよ」
モンスターに騎乗して戦うというのは男子としても憧れはある。
キューちゃんにうまく乗りこなして戦えれば、意外と面白いかもしれないとは思う。
「今度は言ってくれ。あとはもうちょい安定的に乗れるように準備でもしてからな」
『分かった……』
圭はキューちゃんの頭を撫でてやる。
そんなにしょんぼりされると圭が悪いみたいに見えてしまう。
圭も一応B級覚醒者だ。
それなりに能力は高く、ちゃんと心構えをして臨めばそんなに振り回されることもないはずである。
「とりあえずは最初の一体を倒したか。次はメユナゴオド……名前だけじゃどんなモンスターか分からないな」
「まあさっさと探してしまおう。時間も惜しいからな」
十四階の試練は十二階のように途中で中断してもリセットされるわけじゃない。
一回の攻略で終えてしまわねばならないわけではないが、一回戦うごとに塔を出たり十一階に戻って休憩することもない。
体力や魔力に余裕がある限りは連続して攻略していく。
「ひゅーい!」
「たかーい!」
「ちょっとだけ羨ましいな」
シャリンと波瑠がキューちゃんの背中に乗って移動している。
二人は意外と揺れるキューちゃんの背中を楽しそうに堪能している。
赤城も少し乗ってみたいな、なんて思っていた。
「赤城たちは……ここまで攻略を終えてるんだっけ?」
「ああ。次の階はなかなか厄介でな」
ここまで赤城たちヴァルキリーギルドには塔の攻略に付き合ってもらった。
先の階まで攻略しているので、攻略情報を教えてもらいつつ効率的に攻略を進めてきた。
しかしとうとう赤城たちの攻略にも追いついてしまうことになるのだ。
「今は十七階を攻略したところがあるんだっけ?」
「攻略……してるところだと思う」
「微妙に歯切れ悪いな?」
「攻略情報を一切表に出してなくてな。どんな状況なのか分からないんだ。ニュースでは攻略したなんて言われていたりするけれど、正確には攻略したってギルドが出したわけじゃないんだ」
どこかで十七階を攻略した。
あるいは攻略していると聞いたような気はする。
しかしそれはメディアが流している情報であって正確なものではなかった。
今どうなっているのか。
それを知っているのは攻略を進めているアメリカのブレイブギルド、そして共同している中国のシャオジェンギルドだけとなっている。
「あれ? そういえばブレイブと組んでるのはお前らじゃなかったのか?」
「中国の連中に乗り換えられたんだよ」
赤城はため息をついた。
「その話はしたくない」
「分かった。聞かないよ」
より良い条件を提示してきたところと手を組むことはあり得る話だ。
何かの事情があるのだろう。
そのおかげで圭たちはヴァルキリーギルドの力を借りられているのだから文句はない。
「圭君! 向こうにモンスターが見えるよ!」
「おっ、じゃあ次の戦いと行こうか」
『今度は波瑠をのせて戦いましょうか』
「やった!」
終わりはどこか分からない。
しかしここまでやってきた。
ある意味では始まりのような場所。
先の見えない戦いだが、目の前の問題を一つずつ解決して進む。
現在十四階を攻略中。




