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【完結】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十二章

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英雄軍師、フェンリルを呼び出す1

『ウォ〜ン!』


「そう鳴くなよ……またすぐ呼ぶからさ」


 十三階にモンスターがいない原因はキューちゃんとメルリンだった。

 正確にいえばモンスターはいるのだけど、十三階における支配者であるメルリンたちが近づけないように保護しているのだそうだ。


 だからモンスターの気配がなかったのかと納得してしまう。

 ともあれ十三階はクリアした。


 ただキューちゃんに会うまでに三日の移動を要した。

 体力的疲労は少ないにしても十四階に挑む心の準備もできていない。


 十四階へのエントランスゲートは十三階のエントランスゲートから一日の距離にある。

 メルリンと会った位置からすると、十三階のエントランスに行くのとそう変わらない距離になってしまう。


 ならば一度帰ろうという話になった。

 また三日をかけてエントランスゲート前に戻ってきた。


 下の階に行こうとしたのだけど、キューちゃんはエントランスゲートを通り抜けられなかった。

 置いていかれる。


 それゆえの悲しみの遠吠えだった。

 終わりして頭を上げて、情けなくちょっと高めに悲しげにキューちゃんは鳴いている。

 

『本当?』


 頭を下げたキューちゃんはウルウルとした目で圭のことを見る。

 体格だけ見れば立派な大狼なのに、中身は子犬のようである。


『すぐだよ! すぐ!』


「分かったから」


 圭はキューちゃんの頭を撫でる。

 そういえばフィーネも最初の頃は一人だと寂しいなんて言っていたこともあるなと思い出す。


 色々なものを分解したり大変だった記憶がある。


『絶対だよ〜!』


「ずいぶん懐かれたもんだな」


 キューちゃんの熱い視線を背に、エントランスゲートを通って十二階に降りた。

 白い部屋は相変わらずだ。


「まあ可愛くていいけどな」


「ギュッ!」


「フィーネも!」


「二人も可愛いぞ」


 シャリンとフィーネが圭の腕に絡みつく。

 性質としてキューちゃんもシャリンとフィーネに近い感じがある。


 二人と仲良くはなれそうだ。

 ただ圭の体が持つかなというちょっとした不安はある。


 十二階に用はない。

 圭たちはそのまま十一階に降りていく。


「今回は長かったですね。ご無事でよかったです」


 ヴァルキリーギルドとかなみを除く大海ギルドは塔を降りていったけれど、圭たちは十一階の王城に向かった。

 圭たちの無事を知ったクロノアが笑顔で迎えてくれた。


「お願いしたいこと……ですか?」


 挨拶のためということもあるが、王城を訪れたのにはわけがある。


「フェンリルを預かってほしいんだ」


「フェ……えっ?」


 圭はメルシリアにとあるお願いをした。


「ちょっと事情があって……良い子なんだ。人と触れ合わせて色々と教えてあげてほしい」


 圭がしたお願いとはキューちゃんを預かってくれというものだった。

 人と会わせてやってほしいとメルリンは言ったものの、塔の外には連れ出せない。


 別れ際の寂しがり方も激しかったし、人がいる場所なんてこの十一階ぐらいしかない。

 メルシリアたちなら信頼もできる。


「伝説のモンスターであるフェンリルをですか?」


 メルシリアもクロノアも目を丸くしている。

 フェンリルというモンスターはメルシリアたちの世界にも存在している。


 認識としては圭たちの世界と大きく変わりがない。

 伝説のモンスターであるのがフェンリルである。


 おそらく名前はフェンリルではないのだろうが、勝手に同じような存在に置き換わってメルシリアとクロノアには伝わっているのだろう。

 塔の自動通訳とは不思議なものである。


「ちゃんと言うことは聞く……と思う」


「なんだか不安な言い方しますね?」


 確証を持って何か言えるほどキューちゃんとの関係が長いわけじゃない。

 エントランスゲートまでの間、一緒にいて問題はなかったというぐらいである。


「とりあえず呼んでみてもいいか?」


「い、今ですか?」


「ああ」


 きっとまた寂しくて吠えてる。

 早く呼んであげたいなと圭は思っていた。


「こ、ここではちょっと……ええと、兵士の訓練場に行きましょう!」


 今いるのはメルシリアの執務室だ。

 それなりの広さはあるけれど、不測の事態に対応できるような部屋ではない。


 紛失したら困る書類もある。

 フェンリルを呼び出すならもっと広い場所がいいだろうと場所を移す。


「ムラサメ殿! ご無事でいらっしゃいましたか!」


 兵士の訓練場では兵士たちが訓練していた。

 兵士の訓練を担当しているのはディムバーラガンであった。


 人目があるので膝をつくようなことはしない。

 けれども圭に対して丁寧に頭を下げる。


「今日はどのようなご用で?」


 わざわざここまで自分に挨拶しに来たとはディムバーラガンも思っていない。


「少し場所を貸してほしいのです。訓練はどうですか?」


「今少し休憩しようと思っていたところです。場所を空けさせましょうか?」


「お願いします」


「分かりました」


 メルシリアの指示でディムバーラガンは兵士に休憩を言いつける。

 兵士たちの中には圭のことを知っている人も多く、憧れのような視線を送っている人がいる。


 英雄軍師は何をするのか。

 休憩中の兵士たちの視線が集まる。

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