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【完結】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十二章

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フェンリルの恩返し4

「本当お前たち、不思議だよな」


「ん、ありがとう」


 赤城が魔法で作った氷が入って冷たくなったお茶の入ったコップを差し出しながら圭の隣に座った。


「不思議ってなんだ?」


「いろんなことがだよ」


 圭と関わると不思議なことばかり起きていると赤城は思う。

 十一階や十二階のこともそうであるが、黒羽の変化だって赤城には不思議なものだった。


「そもそもの始まりは……次の階か」


「そういえばそうだったな。赤城たちに助けられたんだもんな」


 かつて圭は塔の一階で活動していて、ヘルカトというモンスターに別の階に引きずり込まれた。

 そこで色々なことがあった。


 当時G級覚醒者としてなんの力もなかった圭は死にかけて、ヴァルキリーギルドに助けられた。

 ヘルカトに引きずり込まれた世界こそ十四階なのであった。


 つまり圭は一度十四階に行ったことがあるのである。

 思えばそれが始まりだった。


 赤城たちヴァルキリーギルドとの関係も実はそこからである。

 十四階に行ったことがあるからといって、結局十四階まで登れるようになっていたというわけでもない。


「ある意味では俺の因縁の場所かもな……」


 死ぬことも覚悟したのが十四階。

 そしてヘルカトが死に、圭が真実の目を手に入れることになったのも十四階である。


 圭の人生が大きく変わった場所と言っていい。


「まあとりあえず目の前のことに集中かな」


 ーーーーー


「もう三日も移動続けてるよ……」


 銅像についていくこと三日も経過していた。

 覚醒者として体は頑丈なので体力的には問題はない。


 しかしただ歩いているだけというのは精神的に疲れてしまう。


「モンスターも出てこないしな」


 カレンは深いため息をつく。

 歩きっぱなしということには、モンスターの襲撃がないということも含まれている。


 もちろん危険な戦闘などない方がいいには決まっているのだが、歩き通しになると少しリズムの変化のようなものが欲しくなる。


「モンスターも出てこない、というのは奇妙ですね」


 歩くばかりの退屈さに変化を与えてくれるだけでなく、モンスターが出てこないということに少しの不自然さもある。

 当然十三階でもモンスターは出てくる。


 赤城によると少なくとも一日一回ぐらいは襲撃されるものなのだけど、今回三日間モンスターのモの字もないほどに静かである。

 モンスターの影や鳴き声もなくて、襲われる気配を全く感じないのだ。


「やっぱりあの銅像のせいかもしれないな」


「そうだねぇ」


 圭は少し前を歩く銅像を見る。

 フェンリルのような銅像は今先導してくれているものの他に、移動を続ける最中で二回ほど目撃した。


 よほど大事にされているか、崇拝されているのだなと圭も感じた。

 となると銅像にも何か特別な力があるのかもしれない。


 モンスターを遠ざけるようなことをしてくれている可能性がある。


「しっかし……どこ行くんだ?」


 最初は道に沿って歩いていた。

 しかし一日前ほどから道を逸れて森の中に入っていた。


 ただジメジメとして嫌な雰囲気のある森ではなく、なんとなく雰囲気のいい場所である。

 

「うおっ……でっかい木だな」


 進んでいくと正面に木々の間から巨木が見えた。

 まだ距離はありそうなのに近くに見えるほどに大きい。


 どうやら銅像はその木に向かって進んでいるようだ。


「スッゲェ……」


 やがて見えていた巨木の前に辿り着いた。

 太い幹に見上げるほどの高さがある。

 

 葉は青々としていて、見ているだけで生命力すら感じる。


「あれ!」


「あっ……!」


 巨木の雄大さに感動していると、木の後ろから大きなオオカミのようなモンスターが二体現れた。


「……敵意はなさそうだな」


 みんな警戒するが、モンスターは攻撃してくるような様子もなくジッと圭たちのことを見ている。


『お疲れ様でした』


 頭の中で声が聞こえる。

 銅像が眠るように地面に丸くなった。


「なっ……」


 二体いるモンスターのうち、やや小柄な方が圭たちに向かって走り出す。

 それでも敵意は感じず、攻撃すべきか、あるいは防御すべきなのかという判断すら誰もできない。


 気づけばモンスターは大きく飛び上がった。


「圭!」


 モンスターが狙ったのは圭。

 上から飛んできたモンスターに圭が押し倒された。


「のわああああぁぁあ!?」


 ベロン。

 圭を助けるためにみんなは一斉にモンスターに攻撃しようとしたけれど、モンスターは圭を傷つけなかった。


 ただ大きく顔を舐め上げた。

 圭よりも遥かに大きな体格をしているモンスターなので顔面が持っていかれそうになる。


「キュ……キューちゃん……なのか?」


 一舐めで頭がびちょびちょになった圭は絞り出すようにモンスターに声をかける。

 真実の目を使えば早いだろう。


 でも使わずともなんとなく分かったのだ。


『そうだよ!』


 最初とはまた違う声が頭の中で響く。

 モンスターは嬉しそうに尻尾を振りながら圭の頭を舐め回す。


「お、溺れ……」


 舐めまわされ、キューちゃんのヨダレで息ができない。

 舐め上げる力も強くて首が持っていかれそうになる。


 助けてほしいと周りを見ると、波瑠が拗ねたような目をして見ていることは圭も気づいた。

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