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【第十二章完結!】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十二章

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女神の騎士たち4

「ぶっとべぇー!」


 赤城が手を伸ばし、処刑者の顔に炎を放出する。

 処刑者の頭が吹き飛び、体がゆっくりと地面に倒れる。


「……私は抑えなきゃ……」


 赤城が活躍することにかなみは少し不満そう。

 けれどもかなみはまだ十二階を攻略したことがなく、圭たちと一緒にボスに挑むことができる。


 赤城はボスに挑めないので派手に力を使ったとしても問題はないが、かなみはボスと戦うためにもある程度力を温存しておく必要があるのだ。

 黒羽も同じく兵士を圧倒するように倒す。


 赤城はそうでもないが、黒羽は圭に倒したアピールをするのでかなみとしてもちょっとムムッとする。


「あれを処理するからみんな下がって」


 モンスターを倒し終えて白い玉をかなみが処理する。

 小さい水の玉を撃ち出して白い玉に当てると大爆発が起こる。


 相変わらず凄い音を立てて爆発するものだけど、距離をとっていれば花火のようなものだ。


「この調子で進んでいけば難しいことはなさそうだな」


 ーーーーー


「これが神殿か」


 進んでいくと神殿らしき大きな建物があった。

 いかにも神殿といった感じの見た目をしていて、前にはモンスターが待ち受けていたけれどみんなで協力して倒した。


 見上げるほどの神殿を見れば、どれだけ女神が信仰されているのか窺い知れるようだ。


「そもそも三つの異なる世界にまたがって同じ女神が信仰されるなんてことあるのか?」


 疑問に思うことは多い。

 同じモンスターが出現し、神殿も似たような見た目をしている。

 

 同じ階にもあることから、三つの世界にあるそれぞれの神殿は同じ神を信仰して作られたものだろうと推測できる。

 だが一方でそうなると異なる世界で同じ神が信仰されているということになってしまう。


 ゲームに参加しているのは別々の神が治める別々の世界である。

 それぞれの世界がどんなふうに存在しているのか知らないけれど、別の世界ということは別の星とかそんなレベルなのではないかと思う。


 全く異なる世界で同じ神が信仰されることなどあり得るのだろうか、とふと不思議さを感じた。


「確かに言われてみればそうだねぇ」


 圭たちの世界ですら色々な神がいる。

 八百万の神なんてものもあれば、唯一無二の神なんてものも存在している。


 同じ世界ですら別の神がいる。

 なのに違う世界で同じ神が強い信仰を集めるなんて、とてつもない確率だろう。


「信仰を奪い取ったのかもしれませんね」


「信仰を奪い取る?」


「四階でのこと思い出してください。この階の女神は偽の女神として君臨していました。最後には平穏の騎士が現れて無理矢理血の平穏を実現しようとしていました」


 薫は四階での出来事を思い出していた。

 十二階の世界で共通して信仰されていると見られる女神は、四階において偽物の存在であった。


 だけど誰も偽物だとは気づかなかった。

 薬草を捧げられ、あたかも四階の世界の女神かのような顔をしていたのである。


「この神々をゲームを利用して他の世界の信仰を奪って、自分のものにしたのかもしれません」


 なんでそう思ったのかはわからない。

 けれどそうなのだと不思議な確証が薫の中にあった。


「まああり得ない話じゃないか」


 世界を奪う。

 そんなことが可能なのかは圭たちには想像も及ばない。


 けれど神々のゲームの中で他の世界に影響を及ぼすことができるのなら、信仰を集めて世界を支配してしまうことも可能なのかもしれない。


「だとしたら結構やな神だよな」


 カレンは渋い顔をして神殿を見る。

 もしかしたらこの世界も奪われた世界なのかもしれない。


 他の世界を他の神から奪い取るなんて、かなりゲスい行いである。

 もしそんな女神が自分たちの世界に手を伸ばそうとしていたらと考えるとゾッとする。


「ここからは私たちは入れない」


 赤城は虚空を見つめる。

 そこには圭たちには出ていない表示が現れていた。


『入場の資格がありません!』


 そのような一文が表示されている。

 赤城が神殿に入ろうとすると見えない壁に阻まれてしまうのだ。


「中の状況は説明した通りだ。あとは怪我ないように頑張れよ」


「ああ、行ってくるよ」


 神殿前で赤城たちと別れて、神殿の中に入っていく。

 光が入るような窓はないけれど、壁には松明が設置されていて中は明るい。


 空気は外よりも少しひんやりとしていて、張り詰めたようにも感じられる。


「あれが騎士……か」


 広い部屋に出た。

 正面には大きな女神像が立っている。


 穏やかな笑みを浮かべていて、あたかも善良な女神に見える。

 そして女神像の前にはモンスターがいた。


 槍を立てて持ち、女神像を見上げている。


『平穏の騎士メルビド

 彼は女神に忠誠を誓った。

 奴隷だった彼は平穏がもたらした自由によって解放され、受けた恩を返すために自ら女神に膝をついた。

 彼は成長して力をつけた。

 女神の大願を邪魔するものを平穏の名の下に排除し続け、女神からの寵愛を受けることになった。

 平穏とは即ち死であり、救済である』


 圭はモンスターを鑑定してみる。

 なんとなく分かっていたが、モンスターといいつつも平穏の騎士は元々人であるようだ。


 特別弱点なんかはわからないけれど、女神に傾倒していることはよく分かる。

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