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【第十二章完結!】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十一章

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第三勢力5

「‘やめろ!’」


 大きく口を開けて胸を貫いた覚醒者に噛みつこうとした。

 アメリカの覚醒者たちが素早く攻撃をして、モンスターは腕を引き抜いて大きく飛び退いた。


『ヴァンパ・シルテスタン

 強い魔力を持ち、魔法に長けている吸血人。

 高い能力を持ち合わせていて、知能も高いが他の生物から血を摂取しなければならないという身体的な欠点がある。

 他種族を見下していて、高いプライドを持っている。

 戦争によって人間を大量虐殺した結果、摂取できる血が足りなくなって狂い始めてしまった。

 ガルーとは敵対関係にある』


 人の隙間からモンスターのことを確認する。

 やっぱり説明の感じでは、いわゆる吸血鬼というやつだった。


 ただどいつもこいつも狂ってるなと圭は思う。

 ガルーは霧に惑わされてモンスター落ちしているし、ヴァンパというモンスターは血が足りなくて狂っている。


 ただヴァンパの説明を見ると、なんとなく世界に起きたことが見えてきたような気がする。

 どうやら人間もいる世界であり、ヴァンパと人間の戦争が起きたようだ。


 ガルーもヴァンパと敵対関係にあるので、もしかしたら人間とガルーの連合とヴァンパとの戦争、あるいは人間とガルーとヴァンパの三つ巴の戦争があった可能性がある。

 ただ結果的にどの種族も戦争によって数を減らして追い詰められた。


 最終的には滅んでしまったのだろうと圭は思った。


「‘なんだ!’」


「‘血を操っているぞ!’」


 ヴァンパの腕についていた覚醒者の血が浮かび上がる。

 プカリと浮いて一つにまとまると、ヴァンパが血を撃ち出す。


「‘うっ!?’」


 盾を持った覚醒者が前に出て血の玉を受けた。

 しかし想像よりも血の玉の威力が高く、威力を殺し切れなくて部屋の人にまでぶっ飛んでいく。


 血の玉は拳ほどしかない大きさだったのに、恐ろしい破壊力である。

 直撃していたら胴体に穴ぐらい空いていたかもしれない。


「‘モンスターを取り囲め!’」


 一体でも能力が高そうなヴァンパを前にして、逃がさないようにと覚醒者たちが部屋の中に入っていく。

 仲間を呼ばれたら厄介だ。


 ヴァンパは奇妙な雄叫びをあげて覚醒者に襲いかかる。


「‘ぐわああああっ!’」


 ヴァンパは攻撃を掻い潜り、前にいた覚醒者の男に飛びついた。

 そして鋭い牙を首に突き立てる。


「‘何してやがる!’」


 室内が狭く感じられるほどに大きくなったランヴィールがヴァンパの首を掴んで引き剥がす。


「‘ふんっ!’」


 ヴァンパは勢いをつけて体を回転させ、ランヴィールの腕に足を巻き付けて投げようとした。

 けれどもランヴィールは腰を落としてヴァンパの投げを耐えた。


「‘無駄だ!’」


 ヴァンパはランヴィールの手に噛みつこうとしたけれど、牙の先がわずかに食い込んだだけであった。


「‘はっ!’」


 ヴァンパの動きが完全に止まった隙をついてアメリカのA級覚醒者が首を斬り落とす。


「‘ふん……’」


 スキルが解除されてランヴィールの体が元の大きさに戻っていくと、腕に絡みついていたヴァンパが地面に落ちる。

 ランヴィールは噛まれたところがわずかに赤くなっているぐらいで特に怪我もしていない。


「……ダメです」


 能力が高くてほとんどダメージを受けなかった人もいる一方で、悲しい結末を迎えた人もいる。

 最初に胸を貫かれた人は薫の力を持ってしても助けられなかった。


 胸を貫かれた時点で心臓を半分やられてしまった。

 治療して回復する速度よりも命が離れていく速度の方がはるかに早くて間に合わなかったのだ。


「‘いいな! このことを胸に刻め!’」


 わずかな油断が死を生んだ。

 最初の頃のように警戒してドアを開けていればヴァンパの奇襲は避けられただろう。


 何もいないなという油断が一人の命を奪ったのである。

 アメリカの覚醒者が全体に今一度気を引き締めるように喝を入れる。


 首に噛みつかれた方の覚醒者は無事だったものの、全体的な雰囲気はかなりピリついて悪くなってしまった。

 死体をそのままにはしておけない。


 腐ってしまわないように魔法で凍らせて死体を運び出す。

 地図は作ってあるので道を帰るのもスムーズである。


 外の待機組に死体を任せて再び城の中に入っていく。

 今度はもう先ほどのような油断は一切ない。


 一度開けたドアは開けっぱなしにしてあるので、どこから再開するのかも分かり易い。

 しっかりと盾を構えた覚醒者を前に出して、横から他の覚醒者が手を伸ばしてドアを開ける。


 中には何もない。

 ただみんな胸を貫かれた覚醒者の姿が頭をチラついて、何もいないことにほんの少しの安堵を覚える。


「ん? どうかしたのか?」


 妙な緊張感を保ったまま進んでいたら急に前の方が止まった。

 モンスターがいたのかと思ったけれど、戦いの緊張感とはまた違っている。


「何か異変があったようね」


 漏れ聞こえる会話からかなみが状況を把握しようとする。


「聞いてきてくれるかしら?」


「分かりました」


 かなみが英語ができるギルドメンバーを行かせて話を聞きにいってもらう。

 騒がしさ的に問題もなさそうなのになんでだろうかと圭も不思議である。

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