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【第十二章完結!】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十一章

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生活の変化1

「仕事、辞めんだってな」


「ええ、そうなんです」


「二人して退職か……最初は結婚すんのかと思ったぞ」


 夜滝の研究室を新徳が訪ねてきた。

 手には袋に入った酒瓶を持って、少し寂しそうに話を切り出した。


 圭と夜滝は日常の生活における大きな判断をした。

 それはRSIを退職することにしたのである。


 アマルジャンの護衛によって想像以上の大金が入ってきた。

 しばらくは何もしなくても生活に困らないぐらいの金額で、金銭的な余裕もできた。


 覚醒者としての等級もB級になって自分の身を守れるようになったし、B級ならば稼ぎにも困らないぐらいに活動できる。

 以前から退職は考えていた。


 ゲームが行われているという世界の状況を知り、等級が上がってくると覚醒者としてではない雇われの仕事をしながらの厳しさを感じ始めていた。

 アマルジャンの護衛でもかなりギリギリのスケジュールで、RSIでの仕事もお休みをもらいながらだった。


 もうあまり休みも取れない。

 これからさらに塔を登っていくことになればどうなるのか分からない。


 本格的に覚醒者として自立することにした。

 どうせ世界が滅びることになってしまえば仕事にしがみついても無駄なのだ。


 新徳は辞めるという話を聞きつけて挨拶に来てくれたのである。


「寂しくなるよ。平塚はいいが、もうお前の飯を食えないと思うとな」


「おやおや、その言い草はなんだい?」


「お前がいなくなっても困りはしないが、村雨にはもう胃袋掴まれているからな。家内の飯より正直美味い」


「ありがとうございます」


 なんだかんだと新徳は協力してくれていた。

 夜滝の研究に始まり、圭の料理まで色々とお世話になっている。


「今度はぜひ個人でご馳走いたしますよ」


「それはお願いしたいな。これは退職祝いだ」


「わざわざどうも」


 新徳は袋に入ったお酒を渡す。


「しっかし……これからは覚醒者としてやっていくつもりなのか?」


 新徳は冷蔵庫を開けると圭が作り置きしておいた料理のタッパーを取り出して、電子レンジに入れて温める。

 もはやいつものことなので圭も夜滝も何も言わない。


「ええ、そのつもりです」


「低等級の覚醒者って聞いてたが……アテはあるのか?」


 夜滝まで辞める以上何かあるのだろうとは思う。

 なんの考えもなくその場の勢いで仕事をやめることもなくはないが、二人同時に正気を失うことはないだろう。


 次の仕事を見つけている可能性が高い。

 だが次の仕事があるにしても二人同時というのはなかなか難しい話だ。


 最近圭と夜滝が覚醒者として活動している話も新徳は聞いていた。

 となると覚醒者として生きていくのだろうと予想ができた。


 圭も夜滝も低等級なはずなのでどうするのかまだ疑問は残るけれども、二人なら大丈夫だろうとも思えた。


「覚醒者か……また難しい道を選んだものだな」


 新徳は電子レンジから料理を取り出してソファーに座る。


「まあ達者でやれよ。もう覚醒者の知り合いの葬式に出るのは嫌なんだ。死んでも死ぬなよ」


「矛盾してますよ」


「ウルセェ。金に困ることでもあったら連絡してこい。少しぐらいは助けてやる」


「困ったらすぐ連絡します」


「俺は飯の誘いを期待してるけどな」


「近いうちに連絡しますよ」


 長いようで短いようなRSIでの仕事も辞める時が来てしまった。

 拾ってもらった恩はあるので感謝はしている。


 その恩返しは世界を救ってしたいと思う。


 ーーーーー


「なんとかなったな」


 RSIを辞めるということは現在住んでいる寮も出ていかなければならないということである。

 圭はどうせならと単に部屋を借りるのではなくビルを丸々買うことにした。


 ギルドで使うための建物と兼用することに購入したのである。

 八重樫工房からも近いところにある小さなビルで、たまたま売りに出ていた。


 そこを圭が買い取ってリフォームしたのである。

 みんなで過ごせるリビングルーム、それぞれの部屋、ギルドのためのミーティングルームなどしっかりとこだわった。


 半端な時期だったので引越し業者の手も空いていて、荷物の運び込みもそんなにスムーズに行えた。


「ふぉー!」


「ふぃー!」

 

 RSIの寮はかなりいい部屋だった。

 それに比べてしまうと見劣りするかもしれないが、リフォームしたばかりの部屋はピカピカである。

 

 家具なんかも新調したのでシャリンやフィーネも嬉しそうだ。


「おっ、来たかな?」


 インターホンが鳴って、圭はインターホンのモニターを確認する。


「来たよー」


「ああ、今開ける」


 モニターには波瑠たちの姿が映っている。

 建物の一、二階がギルド用となっていて、それ以上が居住スペースとなっている。


 一応入り口も分かれていて、セキュリティもしっかりとしていた。


「みんな、迷わなかったか?」


「大丈夫、分かりやすかったよ」


 圭がドアを開けてみんなを招き入れる。

 波瑠、カレン、薫もリフォームしたての部屋に驚いている。


「前の家の部屋もすごかったけど、ここもいいな」


「みんなで集まる場所だしね。そこはこだわったよ」


 一応ギルド用の会議室もあるけれど、普段集まる時は居住スペースのリビングルームになるだろう。

 だから快適に過ごせるように気をつけた。

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