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【第十二章完結!】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十一章

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顔を奪う覚醒者3

「話は通したわよ」


 かなみが電話をかけると数人の武装した覚醒者が現れた。

 伊丹の下について調査に当たっていた覚醒者協会の職員で、先日ゲートでアマルジャンが襲われた時にも来ていた人もいる。


 かなみが連絡した人が、伊丹を探すのに協力するチームとして派遣してくれたのだ。


「身分証を出して自分の名前をお願いします」


 こうなったら誰が信頼できるかも分からない。

 誰がフェイスマスクか分かったものではないので、しっかり確認しておく。


「他にいなくなった人がいないかの確認を。それと防犯カメラなんかはありませんか?」


「あります。今すぐに守衛室に確認しに行きます」


 圭は天野とかなみと共に伊丹のデスクのところに向かう。


「動かないでください!」


 圭は一気に真実の目で名前を確認していく。

 情報が一気に入ってくると目や頭に負担がかかるけれど、今は悠長に一人ずつ確認している時間も惜しい。


 天野が人事データを引き出して名前の一覧をパッと確認していく。


「この人は?」


 リストに無い名前の人はいない。

 しかしリストに名前があるのにいない人がいる。


「高梨さん? トイレにでも行ってるんじゃ……」


「でも、朝に見たきりな気も……」


 一日いなければおかしいなと思うけれど、多少の時間ぐらいなら同僚がいなくてもあまり気にする人は多くない。

 トイレに行っていてたまたまいないだけなのか、朝からいないのか周りの人も正確には分かっていない。


高梨大吾タカナシダイゴさんにご家族は?」


 少し前に行方しれずになって自宅で家族共々死体で見つかった職員がいる。

 家族まで殺したのは手間や身バレ防止を天秤にかけた結果だろうと伊丹は言っていた。


 家がある人の顔を奪えば、家に帰らないと不審に思われる。

 家族と接すればそれだけ会話や態度からバレるリスクも出てくる。


 一方でそんなに長い間その人に成り替わるつもりがないのなら、家族も消してしまった方が手っ取り早い。


「奥さんと娘さんが」


「本人とご家族に連絡を」


 圭たちのピリついた雰囲気に周りも押し黙ってしまう。

 何もなければそれでいいのだ。


 何かがあった時にマズイのである。


「村雨さん、監視カメラの映像を見る許可がおりました」


 こうした組織でめんどくさいのが何事にも許可が必要ということだ。

 監視カメラの録画を見るのにも許可が必要だったのだが、かなみの連絡のおかげでかなり早く許可が降りた。


「こちらが朝の映像です」


 連絡は伊丹の部下の覚醒者に任せて圭たちは防犯カメラの映像を確認する。

 覚醒者協会の建物前を映し出した映像は出勤してくる職員を撮影していた。


「ここです」


 職員がマウスを操作して映像を止める。

 何人かの人が写っている中で一人の女性を指差す。


「こちらが伊丹薫さんですね」


 それは朝に出勤してくる伊丹であった。

 拡大してみてもちゃんと伊丹である。


「つまり朝はちゃんと来ているということだな」


 分かりきっていることではある。

 しかし分かりきっていても一つずつ確実に確認していくことは大事である。


 そのまま映像を高速再生していく。

 覚醒者の目ならば再生速度を上げても映っている人を確認することができる。


「このように入ってから表の方では出てきていませんね」


 表の監視カメラでは出てくる伊丹の姿は映っていなかった。


「裏にある職員用の出入り口も確認しましたが、そちらの方からも出ていません」


「この人……高梨大吾さんはどうですか?」


 天野が高梨大吾のスマホで顔写真を見せる。

 頭部がやや禿げ上がった中年男性が高梨で、あまり目立った特徴もなく印象に残り感じがある。


「高梨大吾さんですね」


「俺が表の方見るので、かなみは裏の方を頼む」


「分かったわ」


 映像を再び確認する。

 朝に裏の出入り口から来ていることはまず確認した。


「止めて。圭君、これ」


 かなみが映像の再生を止めさせた。


「どれだ?」


「この奥の方よ」

 

 裏の出入り口前には誰もいなかった。

 しかし、かなみが指差したのはその奥に映っているものだった。


「少し微妙かもしれないけど高梨大吾よ」


 裏の出入り口の奥にはモンスターや大きな荷物を搬入するための搬入口があった。

 モンスター素材の買取も行っているのでこうした搬入口があるのだが、そこに高梨が映っていた。


 少し遠いので多少微妙なところはあるけれども、確かに高梨に見えた。


「少し待ってください。こちらのカメラの映像もありますので。ええと……」


 裏の出入り口の映像の時間を確認して、搬入口の映像も同じ時間に飛ばす。


「高梨で確定だな……」


「何を運んでるのかしら?」


 高梨は搬入口から出てきていた。


「大きな段ボール。人でも入りそうね」


 台車に大きな段ボールを載せている。

 それをそのままどこかに運んで行った。


 段ボールはかなり大きく、人を入れられるほどの大きさがあった。

 大柄な男性は無理だろうが伊丹なら余裕だろう。


 映像をさらに先に進めてみるも、出た後に高梨は戻ってきていない。


「駐車場を確認してみましょう」


 台車を押した高梨が向かった先は駐車場の方向だった。

 今度は駐車場の映像に切り替える。

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