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【第十二章完結!】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十一章

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顔を奪う覚醒者2

 多少ズルい方法ではあるが、圭のみならば時間の自由がきく。

 なぜなら圭はRSIの仕事上、夜滝の助手であるからだ。


 RSIは比較的成果主義であり、成果がしっかりとしていれば緩いところがある。

 夜滝の命令で、という形で外出していても何か聞かれることもない。


 実際圭がいなくても問題になる可能性は低い。

 全く仕事もしないのは流石に問題であるけれども、少しばかりRSIにいなくてもバレないのである。


 加えてモンスターや覚醒者関連の確認のために、なんでもっともらしい理由をつければ覚醒者協会に行くことも立派な業務となる。

 圭は仕事を抜け出して覚醒者協会に来ていた。


 目的は職員の中にフェイスマスクやその手の者が紛れていないかを真実の目でチェックするためだった。

 少しズルいやり方かなとは思うけど、覚醒者活動のために結構休みももらっているのでしょうがない。


 一応本当に提出書類はあるので、完全なウソでもないことは主張できる。


「伊丹薫さんはいらっしゃいますか?」


 提出すべき書類を出して覚醒者協会の中にあるベンチで待っていた。

 少し早く着いたので時間を潰していたわけである。


 こうしていると大体伊丹の方も時間より早く出てきて声をかけられたりする。

 だが今日は時間になっても伊丹は出てこなかった。


 だからもう少し待って受付に伊丹のことを聞いてみた。

 誰しもうっかりということはある。


 習慣的に遅刻する人でないことは分かっているので、むしろ人間らしい側面でいいとすら思っている。


「今来るらしいので少々お待ちください」


 すぐに確認の連絡がいって圭はやっぱりちょっとしたうっかりミスなんだなと思った。

 しかしそれでもすぐに伊丹は来ず、慌てたように別の職員が現れて誰かを探すように協会のホールを見回す。


「村雨圭さんですよね? 私、天野幸雄アマノユキオと申します」


 圭を見つけて駆け寄ってきた天野と名乗る男性職員はなんとなく顔色が悪い。


「伊丹さんに何かあったんですか?」


 本人が出てこない以上は何かあったのだろう。

 だが簡単に解決できる問題とか、そんなものが起きたようには見えない。


「質問を質問で返すのは申し訳ないですが……伊丹から何か連絡などはありませんか?」


「連絡? いえ、何もありませんが」


「……伊丹の姿がなくてですね。てっきりこちらに来ているものと思ったのですが、いらっしゃらないようで。携帯に連絡しても繋がらず……」


「伊丹さんはどこに?」


 圭も不穏な気配を感じとる。


「朝は来ていたことを確認していますが、いつからいないのか正確なことは。どこに行ったのかもわかっておらず……」


「けーい君! こんなところで会うなんて奇遇……何かあったのかしら?」


「た、大海ギルドの上杉ギルドマスター!? お疲れ様です」


「かなみ?」


 すごく嫌な予感がしてきた。

 伊丹はどこに行ったのかと思っていると、かなみが圭に声をかけてきた。


 ギルドの関係で覚醒者協会をたまたま訪れてきて、圭を見つけたのである。

 だが圭も話している天野も険しい顔をしていることに気がついた。


「少し問題が起きてるかもしれないんだ」


「問題……私は関わらない方がいいかしら?」

 

「……むしろ協力してくれ。伊丹さんに関わることなんだ」


「薫に?」


 覚醒者協会には申し訳ないが、伊丹が何かのトラブルに巻き込まれているとしたらかなみを逃す手はない。

 少し勝手だけどかなみを引き込ませてもらう。


 相手がフェイスマスクという危険な覚醒者が関わってるのだとしたら、A級覚醒者のかなみがいてくれればありがたい。


「話を聞かせて」


 伊丹はかなみの数少ない友人である。

 何かの問題が伊丹に起こったとあらば放っておくことはできない。


 特に圭に関わることなら絶対にトラブルであると、かなみも半分確信のようなものがある。


「……確かに繋がらないわね」


 事情を聞いたかなみも伊丹に電話をかけてみるけれど繋がらない。


「そのフェイスマスクっていうのが犯人だと?」


「可能性があると思う」


 伊丹もまだ覚醒者協会の中にフェイスマスクがいると考えて圭に協力を要請してきた。

 もしかしたらフェイスマスクの存在を疑っているせいで狙われた可能性もある。


「とりあえず犯人はフェイスマスク、伊丹さんはさらわれたと仮定して動こう」


 楽観視はせずに最悪の事態を想定して動くことにする。

 伊丹がフェイスマスクに誘拐されたなど考えたくはないが、今の段階で伊丹が失踪する原因としてはそれぐらいしか考えられない。


「さらわれたばかりなら……まだ助けられるかもしれない」


「助けるのよ。顔を剥ぎ取らせなんてしない」


 フェイスマスクの手にかかればただ死ぬだけではない。

 顔を剥ぎ取られた上で殺害されるのだ。


 そんなことさせないとかなみは怒りの表情を浮かべる。


「天野さん、他にいなくなった職員がいないか探してください。至急です!」


「わ、分かりました!」


「上には私が話を通すわ」


 かなみが別の人に電話をかける。

 覚醒者協会の中に潜んでいたフェイスマスクが動いたのだとしたら、伊丹の他にいなくなった人もいるはずだ。


 一応圭の目でも天野のことを確認した上で協力してもらう。

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