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【第十二章完結!】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十章

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時の神殿を探せ!1

 メルシリアは早速次の日お菓子屋に来てくれた。

 圭が声をかけるとシーカーが強く警戒していたけれども、メルシリアが止めたので赤城の時のように争いに発展することはなかった。


 どこで話すのか悩んだけれどあまりメルシリアを外に連れ出すわけにもいかず、お金で解決することにした。

 お菓子屋から少し離れたところにあるレストランを貸し切った。


 一日の売り上げよりも高い金額で朝から夜の時間まで利用できるように交渉した。

 一応シェフは常に待機していて必要に応じて料理も作ってくれる。


 ほぼ何もせずにいつもより稼げるのだからとシェフは乗り気で交渉に応じてくれた。

 次の日早速メルシリアが来てくれたので事前に払った十日分ほどはシェフの有給になりそうだ。


「昨日のお話……本当なのですか!」


 レストランの奥側の席に着くなりメルシリアは本題に入った。

 お菓子屋でもそわそわしていたけれどよほどクロノアのことが気になるらしい。


「本当の話です」


「クロノアは一体どこにいるんですか?」


「すぐ近くにいますよ」


「すぐ近くに? ……まさか」


「メルシリア様?」


 メルシリアは立ち上がるとレストランの隅の席を見た。


「そこにいるのね?」


「何を……そこには誰も……」


 レストランの隅の席ももちろん誰もいない。

 シーカーは護衛として確認したのだし、今見ても誰もいないと思っていたら一瞬空間が歪んだ。


 するといなかったはずの人が席に現れてシーカーは驚いた。


「昔からあなたはそう。気まずいことがあると魔法で隠れて」


 メルシリアはフッと笑う。

 そしてクロノアは気まずそうに席から立ち上がった。


「会いたかったわ、クロノア」


「…………僕もだよ」


 メルシリアがそっとクロノアのことを抱きしめた。

 クロノアも控えめにメルシリアの腰に手を回して応える。


 シーカーは止めるかどうか悩んだようだけど、クロノアならばと渋々止めなかった。


「あなたは変わらないわね」

 

「君もだよ」


 ペタペタと顔を触ってくるメルシリアにクロノアは困ったような顔をしている。

 やっぱり二人は親しいのだなと圭は思った。


「それよりもメルシリア……君に話さなきゃいけないことがあるんだ」


「……私もあなたに聞きたいことがあるの」


「とりあえず席に座りましょう。少し何か食べながら話すことにしましょうか」


 シェフがチラチラと覗いている。

 このままでは会話を聞かれるかもしれないので料理でも注文してあとは帰ってもらおうと思った。


「久しぶりね。あなたが城を離れた時は置いて行かれたと思ったものよ。お父様の命令だったと分かった時にはもう手遅れだったから。ごめんなさい」


「謝ることはないよ。僕たちもあまり抵抗はしなかったからね」


 みんなして席に着く。

 クロノアとメルシリアは正面に座って、シーカーはメルシリアの隣、圭はクロノアの隣にいて、他のみんなも近くの席で話を聞いている。


 ちょっとだけシーカーと赤城でばちばちした雰囲気があるので席は離してある。

 クロノアの方はまだ気まずい雰囲気があるけれど、メルシリアの方はあまりそうした感じはなかった。


「あなたのことは探すなってお父様に言われていたけれど……最近お父様の様子がおかしいの」


「どうおかしいんだ?」


「公然と時を批判するようになったの。流れゆく時は残酷で、止まってしまえばいいと。時間が流れなければ悲しみは生まれず、時を止めてしまえばいいと口にするようになったの」


 時間が止まればとか時が戻ればとか考えたことがある人は多いだろう。

 しかしこの国においてそう考える人はいない。


 時の神を大切にしている国であり、時は流れるもので止められない。

 止めてはならない尊重すべきものだと考えられている。


 だからクロノアたち時の神の神官も大切にされていた。

 けれども王様は時の神の神官を追い出し、時が流れることに文句を言い始めたのである。


 これは異常な事態であった。


「最近あまり知らない人がお父様のそばに控えています……なんだか怖くて……」


「それでクロノアを探していたのか?」


「ここ最近のお父様は明らかに異常です……ただ誰にも相談もできず、クロノアならと思ったのです」


 メルシリアは父親である王様の異常を感じていた。

 ただそれをどうしたらいいのかも、誰に相談したらいいのかすら分からなかった。


 そんな時に頭に浮かんだのがクロノアなのである。


「時の神は建国の祖たるご先祖様を助けた偉大な存在。世界に這い寄る脅威から守ってくださる神だと言われています。そんなあなたたちを追い出してしまうなんて……」


 メルシリアは悩ましげに首を振る。


「どうやらお父様は時の神の神殿を探して破壊しようとしているらしいの」


 何をしたらいいのか分からなかったメルシリアであるが、父親の異常を感じてバレないように監視していた。

 その中で一度だけ王様が時の神の神殿を探し出して破壊すれば時を止められると呟いたことをメルシリアは耳にした。


 それもまたクロノアを探していた理由である。


『メラシオニに辿り着け! クリア

 ……

 クロノアを探せ! クリア!

  メルシリアにクロノアが生きていることを報告せよ!クリア!

  メルシリアに話を聞け! クリア!

  時の神殿を探せ!


 シークレット

 戻らぬ時を取り戻せ』


「試練が更新された……」


 時の神殿の話を聞いた瞬間表示が現れた。

 メルシリアに話を聞けがクリアになって次の試練が出てきて圭はみんなと視線を合わせる。


 みんなにも同じ表示が現れている。

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