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【第十二章完結!】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十章

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暗殺を止めろ!4

「それともう一つ……」


「何かあるのか」


「長いこと時間が行ったり来たりして……僕自身の記憶も曖昧なところがあったんだけど思い出したことがあるんだ」


「何を思い出したんだ?」


「本来この世界は十五日なんかじゃ終わらなかったんだ」


 ループに巻き込まれるとクロノアでも全く何もないというわけではない。

 どこにいようと最初の場所に戻されるし、そのせいかループした直後はぼんやりとした感じが残る。


 だんだんとループすることに慣れてきたが長い時間が経ち、ループし始める前のことを忘れかけていた。

 圭たちに出会ってループを抜け出そうと色々考えているうちにループ前のことを思い出したのだ。


「ループでは十五日目にモンスターが一気に攻めてくるけど本当は徐々に侵攻してきて、最終的にこの町も飲み込まれたんだ。ループしていて思ったことがある。まるで……ループが始まる前の何年……十何年とかそんな時間を十五日に圧縮して過ごしているようだってね」


 最初の頃はループに対して違和感を感じていた。

 あまりにもモンスターの襲撃が急すぎると思っていたのだ。


 本来は世界がだんだんとモンスターに押されていって最終的にメラシオニも飲み込まれた形であった。

 ループではそんな過程を感じさせることがないのだ。


 それをクロノアは過程が違うのではなく時間の流れが圧縮されているようだと感じたのである。


「時間が圧縮か……試練なんかの動きは早いよな」


「試練だからと疑問に思ったことはないが連鎖的に起こる試練で普通なら数日かかりそうなものがすぐに発生することもあるな」


 普通とは違う圧縮された時間の中を生きている。

 仮にこのことが本当だとして、それがなんの影響を持つのか分からない。


 しかしやはり十一階は常軌を逸した空間であるようだ。


「クロノア、メルシリアが外出しそうな場所ってのはないのか?」


「外出しそうな場所?」


「ああ、次のループは直接伝えてみようと思ってな」


 圭は次のループのことも考えていた。

 シーカーに伝えては暗殺が発生するので今度は直接伝えてみるつもりだった。


 ただ王城を訪ねてもメルシリアに会わせてもらえそうな気配はない。

 王城に忍び込むなんてことも考えたけれども流石にリスクが高すぎる。


 王城を訪ねてシーカーが来た時点でクロノア関連のことだと勘付かれる可能性があるし王城を訪ねず接触する手立てはないかと悩んでいた。

 どこか王城の外で会えるのなら一番だ。


 メルシリアと知り合いのクロノアならメルシリアが行きそうな場所に心当たりでもあるのではないかと思った。


「メルシリアが行きそうな場所……一つだけ、心当たりがあるよ」


「それじゃあそれを教えておいてくれ。次のループで試してみるから」


 ーーーーー


「よいしょ!」


 三日が経って圭たちはまた十一階を訪れていた。

 メンバーは前回と同じで波瑠の能力を使って城壁を乗り越えて忍び込む。


 夜滝やカレンは不満そうであったけれど、やはり隠密行動をするのに人が増えるとやりにくい。

 連れていってもらえるドヤ顔のシャリンもまた若干悪いところはあったりもする。


 闇に紛れて圭たちが向かったのは情報屋である。

 前回と同じく暗い店内に入って赤城が決められた合言葉を伝えると下への階段が開く。


「ピピピピ……」


「どうした、フィーネ?」


「前よりたくさんの気配がある……」


「気配?」


 圭の服の中で装備に擬態したフィーネは人の気配を感じ取っていた。

 前回来た時には何人かしかいなかったのに今回情報屋の中には多くの人の気配があった。


「みんな……」


 圭は何か怪しい気配を感じてみんなにフィーネの言葉を伝える。

 下まで降りてみるとフィーネが感じたという人の姿はなく前回と同じくフードを深く被った情報屋が一人いるだけだった。


「情報を受け取りに来た」


「もちろんご用意しています。ですが先に料金をいただきませんと」


「……ほらよ」


 赤城が魔石の入った袋をテーブルに置く。

 情報屋は袋を手に取ると中身を確認する。


 テーブルの上にあった拡大鏡を使って魔石を見て満足げに大きく頷いた。


「資料はこちらに」


 情報屋はテーブルの下からまとめられた資料を取り出して赤城の前に置いた。


「今回の事件はどうにも色々ときな臭いところがあるようです。メルシリア様の護衛であるシーカー様までもが暗殺者の手にかかったようです。王城での出来事ですので調べるのにも苦労いたしました」


「助かったよ」


「どうやら犯人は異国人らしいですね。そして……今は異国人に莫大な懸賞金がかけられているのですよ!」


 なんの変哲もなかった壁が急に開いた。

 壁の中から武装した男たちが雪崩れ込んできて軽たちを取り囲んだ。


「怪しいところのある暗殺ですが……そんなことに首を突っ込むよりあなたたち異国人を突き出した方が利益になりそうだ」


「情報屋が信頼を裏切るのか?」


「申し訳ありません。目の前に金塊が転がっていたら拾うでしょう? それと同じことですよ」


「ふっ、ははっ!」


「何がおかしいのですか?」


 圭たちは五人。

 対して情報屋の男たちは十数人はいる。


 この人数さなら勝てるはずもないのに笑うだなんて頭でもおかしくなったのかと情報屋は顔をしかめた。

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