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【第十二章完結!】人の才能が見えるようになりました。~幸運な俺はいい才能を持つみんなと一緒に世界を救う~  作者: 犬型大
第十章

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陰謀の気配2

「ありがとう」


「もし何かあってそこにいられなくなっても分かるようにはしておきます」


「これから……どうするんだ?」


 これからとはループまで残りの数日のことである。

 小屋は吹き飛んでしまった。


 床板とわずかな壁しかなければ廃墟と呼ぶことすら厳しいぐらいである。


「もうあと数日ですしこのままここにいます。幸いベッドは無事ですし、こうして逃げ場所を見つける前までは怖くて外に野宿していたこともあります。十五日間も外なら辛いですがベッドもあって数日ならなんとかなります」


「悪かったな」


「いえ、こうなることも想定できたはずですからね」


 シャリンがパワーで解決してしまうことは東の森でのことから分かっていた。

 あまり長い時間圭を拘束するとシャリンが動き出す可能性は考慮に入れるべきだった。


「それにしても小屋ごと魔法を吹き飛ばすなんてすごいですね……」


 クロノアは圭に抱きついてるシャリンのことを見た。

 ただの美少女にしか見えないのにとんでもないパワーを秘めている。


「シャリンは特別だからな」


 圭は曖昧に笑う。

 忘れがちであるがシャリンは魔王級の悪魔である。


 決して見た目で侮っていい相手ではないのだ。


「とりあえず俺たちは一度帰ろうか」


 気づいたら日も傾いてきている。

 町に帰る頃には夜になっていることだろう。


 夜に王城に押しかけるわけにもいかない。

 日を改めてまた向かうことにした。


 ーーーーー


「メルシリア……様にお会いしたいんですけど」


 次の日圭たちは王城を訪ねた。

 ヴァルキリーギルドが試練をこなした数も多く町中の好感度も高くなっているのだけど、流石に王城ともなると町中の人と勝手が違う。


 冷たい目をして警戒される。

 クロノアの身分証を見せて用件を伝えるけれどすぐに入れてくれず門を守る兵士の一人が中に入って確認しに行った。


「メルシリア様お付きの護衛騎士をしておりますシーカーと申します」


 クロノアの身分証を持ってシーカーと名乗る女性の騎士が王城から出てきた。


「メルシリア様にお会いしたいとのことですが、一体何のご用でしょうか?」


「ええと報告したいことが……」


 何の用だと言われてもクロノアが生きていると報告したいだけなのである。

 試練の文言からするとメルシリアはクロノアが死んでいると思っているのではと感じたが、直接報告すればいいのかシーカーに言えばいいのか分からない。


「これをお持ち……ということはもしかしてクロノア様はお亡くなりに?」


「いえ、クロノアは生きています」


「本当ですか?」


「クロノアの代わりにそれを伝えにきたんです」


 一瞬沈んだ顔をしたシーカーだったがクロノアが生きていると伝えるとシーカーは嬉しそうな顔をした。


「その伝えに……では私が責任を持ってお伝えいたします!」


 シーカーは圭にクロノアの身分証を返すと城の中に戻っていってしまった。


「……これで終わり、でいいのか?」


 いまいちこれで良かったのかという確証がない。

 ただ結局中に入れてもらうことができずに圭たちは帰ることにした。


『メラシオニに辿り着け! クリア

 アルゼンに話を聞け

 東の森のウサギを五匹狩れ クリア

 サマサンアの悩みを尋ねろ

 キルクリシュダンの爪を納品しろ クリア

 ……

 クロノアを探せ! クリア!

  メルシリアにクロノアが生きていることを報告せよ! 失敗


 シークレット

 戻らぬ時を取り戻せ』


「えっ?」


 城から離れてヴァルキリーギルドが泊まっている宿に向かうところだった。

 目の前に表示が現れた。


 てっきり試練をクリアしたものだと思ったら赤字で失敗と試練横に出たのである。


「け、圭さん……」


「急に周りの目が……」


 ジロジロと見られるようなことはなくなっていた。

 好感度が上がって町の人の視線も好意的なものになっていたはずなのに試練が失敗になった瞬間周りの目が突然冷たくなった。


「……何かが起きてる。とりあえず赤城のところに向かおう」


 すごく嫌な予感がすると圭は思った。

 足を早めてヴァルキリーギルドが泊まる宿に急ぐ。


「おいっ!」


 圭が宿につくと赤城がちょうど宿から出てきた。


「お前ら何したんだ?」


「何って……」


「急に試練が失敗しましたって出て……まあいい、とりあえずこの階を出るぞ!」


 訳がわからないままヴァルキリーギルドについていく。


「申し訳ありませんがお出しすることはできません」


「チッ……悪いな!」


「えっ!?」


 町の門まで行くと町を出ることを拒否される。

 何でそんなことにと思っていたら舌打ちした赤城が門番を殴りつけた。


「いくぞ! 早く!」


 もう一人の門番を黒羽が倒して圭たちは無理矢理町を脱出する。


「逃すな! 追いかけろ!」


 どこからか兵士が現れて圭たちのことを追いかけ始める。


「なんなんだよ!」


「一々相手にはしていられない! エントランスゲートまで走るんだ!」


 赤城はある程度状況が分かっていそうだが圭たちは何も分からない。

 ヴァルキリーギルドに遅れないように走り、後ろからは兵士たちが追いかけてくる。


「そのままエントランスゲートに入れ!」


 十階へのエントランスゲートが見えてきた。

 圭たちとヴァルキリーギルドはそのままエントランスゲートを駆け抜けて通り抜けた。

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